高齢者の確定申告【親の生活】

連載コラム

確定申告が必要?不要?

会社を退職すると、確定申告が必要になることがあります。
会社員でいるときには、年末調整という形で会社の方で所得税の調整をしてくれていましたが、退職すると、年末調整がなくなるので、確定申告で所得税の調整をしないといけなくなります。
退職後の収入は人によって異なります。
・退職金を年金で受け取っている方
・個人年金を受け取っている方
・再雇用や再就職で給与を受け取っている方
・不動産収入がある方(相続等で今までなかった不動産収入を得ることになった方を含む)
・事業を始めた方
・保険の満期や解約での一時的な収入があった方
など、理由はさまざまですが、公的年金以外の収入がある方も多いと思います。

会社員でいるときには、医療費控除を受けるための確定申告くらいしか経験のない方が多いです。その経験もない方もいます。
経験のない方にとって、確定申告はわからないことだらけで、相談に来られる方がたくさんいます。

高齢者 確定申告

そもそも確定申告が必要なのか不要なのか?
公的年金による収入が400万円以下で、それ以外の収入がない場合は確定申告が不要です。その場合でも、社会保険料を納付書でおさめている方は、やった方が良い場合があります。
公的年金からすでに社会保険料や所得税がひかれている方が多いですが、納付書で支払った社会保険料が反映されていないため、所得税を払いすぎていることがあります。その場合、確定申告をすることで税金が還ってくることがあります。(以下還付金)

社会保険料控除の他にも、生命保険料控除・地震保険料控除・医療費控除・配偶者控除・扶養控除のある方はもちろんのこと、離婚や死別をされた方は寡婦控除、本人または扶養親族が障害者になってしまった方は障害者控除など、所得税控除があるため、確定申告をすることで還付金を受け取ることができます。

高齢者 確定申告 還付金

確定申告をするために必要なものを確認しましょう。

1.公的年金等の源泉徴収票
※紛失してしまったときには、「年金振込通知書」等で基礎年金番号・年金コードを確認し、日本年金機構へ電話して再発行してもらってください。
2.国民健康保険料納付額確認書
3.後期高齢者医療保険料納付額確認書
4.介護保険料納付額確認書
※2~4を紛失してしまったときには、各市区町村の担当課へ電話して再発行してもらってください。
※確認書で特別徴収は年金引き落とし分、普通徴収は口座または納付書で支払った分が記載されています。
5.生命保険契約等の年金の支払調書
6.生命保険料控除証明書
7.地震保険料控除証明書
8.満期保険金または解約返戻金の支払調書
※5~8を紛失してしまったときには、各保険会社へ電話して再発行してもらってください。
9.給与の源泉徴収票
10.医療費明細作成したもの
※健康保険から届く「医療費通知」は、1月~11月分と12月分と2つに分けて届きますので、注意が必要です。また、そこには医療機関までの交通費は記載されていませんし、ドラックストア等で購入した医薬品は記載されていません。医療費控除にはそれも対象となりますので、別途明細書を作成した方がいいです。
※寝たきりの方のおむつ代があるときには医師が発行した「おむつ使用証明書」、在宅療養の介護費用は「在宅介護費用証明書」、白内障等の治療に必要な眼鏡の購入費用は医師が治療を必要とする症状を記載した「処方箋」などの必要書類がある場合もあります。
11.個人番号の記載された「通知カード」および「マイナンバーカード」
※「通知カード」を紛失してしまったときには、個人番号ありで住民票をとってください。

確定申告書を作成してみましょう。

手書きで確定申告書を作成した方は、税務署に一式書類が準備されています。
確定申告書にはAとBがあります。
確定申告書Aは、給与・公的年金・配当金・満期金や解約返戻金などの一時的な収入のみの方が使用できます。確定申告書Bはそれ以外の方です。どちらか悩んだときには確定申告書Bをもらってきましょう。

不動産や個人事業の収入がある方は、収支内訳書または青色申告決算書の提出が必要なので、こちらももらってきましょう。青色申告承認申請書を税務署に提出している方は「青色申告決算書」、提出していない方は「収支内訳書」をもらってきてください。不動産収入のある方は不動産所得用、個人事業の方は一般用です。間違えないようにしましょう。また、提出用と控えの用紙がありますので、どちらももらってきてください。

高齢者 確定申告

国税庁のホームページの確定申告書等作成コーナーから、入力していくだけで作成することもできます。印刷して提出することもできますが、税務署で事前にIDと暗証番号を発行してもらっておくと、そのままインターネットでの申告(e-Tax)も可能になります。マイナンバーカードを作られた方は、ICカードリーダーライター(読み取り用)またはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンがあればインターネット申告ができます。

高齢者の確定申告で注意すること

毎年のように確定申告をしている方でも、年々必要書類が揃えられなくなっています。
・郵送でくる必要書類を紛失してしまう
・通知カードやマイナンバーカードの保管場所がわからなくなる

確定申告に必要なもののうち、1~8は郵送で送られてきます。それが確定申告で必要なものかの判断ができなくなったり、大事に保管したものの保管場所を忘れてしまう方がとても多いです。
日常生活での様子で心配なことがあった場合は、11月~2月に届く郵便物に気をつけてあげてください。可能であれば家族の方がきちんと保管しておいてください。

また、手書きの確定申告書の場合、今までできていた計算のミスが増えてきます。ご自分で作成した確定申告書の確認で再計算してあげてください。
家族の方が作成してあげるのが一番良いのですが、
・年金額を知られたくない
・還付金を取られてしまう不安
があるようです。

また、現役のときに役職についていた方などは、間違えを指摘すると自信を喪失してしまうことがあるので、「自分でここまでできてスゴイね!」とほめてあげ、さりげなくフォローしてあげてください。

高齢者 確定申告 家族のサポート

家族の方も会社員の場合、確定申告の経験がない方が多いですが、高齢者の方が施設に入っても確定申告をしないといけない場合があります。今から、サポートを兼ねて経験をしておくことをおすすめします。


プロフィール

氏 名  渡辺 美智代
1966年 神奈川県横須賀市生まれ横須賀育ち
ファイナンシャルプランナー オフィスまみぃ代表
横須賀市とその周辺の地域を中心に個別相談・相談会・セミナー講師をしている。終活カウンセラーを取得してからは、葬儀会社と連携し、葬儀後の各種手続きのサポートも行う。
実績
横須賀市の弁護士・税理士・行政書士・社会保険労務士と「横須賀知恵袋」という団体を作り、月1回の無料相談会を開催
その他の事業
「起業ママ支援ユメノタネプロジェクト」
「ファイナンシャルプランナー資格活用塾FP+」
「介護・相続サポート窓口」 他


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

関連記事

おすすめ記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


コメントポリシーをお読みになった上で投稿してください。
TOP