年末年始に気づいた親の変化
2025年も早1か月が過ぎようとしています。今年は年末年始の曜日が休みを取りやすい並びだったので、ゆっくり過ごされた方も多かったのではないかと思います。
最近お会いした方たちは、いつもより長くご実家に帰省されていたようで、久しぶりに会った親の変化に色々と気づきがあったお話をしてくださいました。
その中で興味深いなと思ったのが「親の食の好みが変わった」というお話で、今回皆様にお届けしようと思います。
以前は口にしなかったものが好きになる
友人が年末に実家に帰ったとき、食事の際今までお酒を飲んでいるのを見たことがない母親がビールを飲む姿を見て驚いたそうです。しかも「周りにお付き合いして飲んでいる」のではなく、自らコップにビールを注いでおいしそうに飲んでいたのでさらに驚いたと話していました。
また別の友達は、年始に親戚が集まる実家なので、20個入りのお饅頭をお土産に買っていったのですが、今まで甘いものを全く口にしていなかった父親がいつの間にかどんどん食べていて、親戚が来る前にほとんどなくなっていたそうです。
お二人とも、普段は帰省しても実家に滞在する期間が短いせいか、親のそういった変化に気ずかなかったと話していました。
「◯◯でなければいけない」の呪縛
前述のビール好きになったお母様いわく「女性がお酒を飲むなんてはしたないことだと教えられて育ったけど、少しだけ試しに飲んでみたらおいしいものだと感じた。お父さんがお酒好きだった理由が今理解できたわ」とのことで、若いころは周りからの目や当時の一般常識を気にして避けていたお酒を今楽しめるようになったと喜んでいるそうです。
また、お饅頭を食べつくしたお父様は「お菓子は女子供が食べるもの(!)で、大の男が食べるなんて格好悪い」という、なんとも昭和的な価値観を持っていたそうなのですが、お母様に「一緒にいただきましょうよ」と声をかけられて甘いものを食べているうちに、そのおいしさに目覚めたようで、すっかり「隠れ甘党」に変わっていたようです。
確かに親の世代は「男(女)たるものこうあるべき、こうすべき」という周囲の同調圧力が強かったと思います。しかし年齢を重ねて世間の目を気にしなくてよくなった今、これまで謎の価値観にとらわれて控えていたことをやってみた結果、「好きなもの」が増えるのであれば、毎日の生活にささやかな楽しみができていいことだなと私は感じました。
我慢や思い込みから解放されてもよい
現在は価値観の多様化を認めようという風潮が強く、「〇〇でなければダメ」などと言われることが少なくなってきましたが、親の世代はまだまだ「みんなと同じ」が良しとされ、個々の希望を我慢したり諦めたりしたことが多かった時代でした。
あと何年元気でいられるかわからない年代になったからこそ、親の心のなかにしまってある「〇〇してみたい」という思いを解放して行動してもらったほうが、精神的にも生きる張り合い、喜びが持てるでしょう。
とはいえ先日のネットニュース(産経新聞 増えるシニアのアルコール依存症 高齢者は「酔いやすい」100歳時代の歩き方)にあったように、アルコール依存症になったり健康を損ねるまで多量に食べたりされるのは困りますよね。
離れて暮らしていると毎日の食生活をチェックすることは難しいですが、できればこまめにビデオ通話などで親の顔色や表情などを確認して、体調に変化がないか様子を見守ってあげていただきたいと思います。
プロフィール
■氏 名 佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格
「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。
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