②詐欺の手口と対策【親の安全】

連載コラム

平成の前半頃、隣国から海を隔てて広がった「オレオレ詐欺」

その手口は犯罪者グループが組織化され、より巧妙になっている

 

美しい昔の日本

美しい昔の日本には、特殊詐欺(オレオレ詐欺)は無かったのです。
戦後の復興から高度経済成長期と日本経済が変化していく中で、私達の日常生活も様々に変化し、
全体主義から個人主義を重んじる社会となり、昭和から平成と移り変わるとともに、
平成の前半頃に、隣国から海を隔てて「オレオレ詐欺」と言う手口が入って来たのです。


どのような手口か?


オレオレ詐欺の手口

特殊詐欺の中のオレオレ詐欺の手口は、「オレオレ」と電話をして、電話に出た親族等から名前を言わせた後に、「風邪をひいて声がおかしい、電話番号を変えた」と告げ、欺罔に陥ったところで「現金が入った鞄を電車に置き忘れた、小切手が入っていた、お金が必要だ」などと言って、親心に訴えてお金をだまし取る手口です。
当初、オレオレ詐欺は、関西から関東を経て全国で多発するようになるのですが、犯罪者グループが組織化され、店舗ごとに、店長、課長、係長等の役職があり、一店舗で1ヶ月1000万円以上をだまし取るノルマがあったのです。
また、店長の上にはブロック長と言う役職があり、ブロック長は、10店舗を管理して毎月1億円を集めて、搾取したお金を反社会勢力に上納していたのです。

 

 

 

 

 

この頃は、不動産屋という者がマンションを借り、道具屋という者が携帯電話を用意し、名簿屋という者が、地域の名簿を用意するとともに、借りたマンションの一室に5~6人の若者が出入りして、室内で名簿に載っている対象者宅に電話を掛け、対象者を欺罔するとともに現金の受け取りもしていたのです。
しかし、警察の取締りが強化されると電話を掛ける拠点を海外に移したり、電話を掛ける掛け子、お金を受け取る受け子の役割を分離し、犯罪者グループ同士が接触しなくなりました。
その後、預貯金詐欺・架空料金詐欺・還付金詐欺・融資保証金詐欺・金融商品詐欺・ギャンブル詐欺・交際あっせん詐欺等の手口が多発して行ったのです。


訪問詐欺の手口

これらの手口の中に訪問詐欺(キャッシュカード詐欺)が含まれており、この手口の特徴について説明します。ある地域を集中的に狙い、犯人グループは銀行協会や大手百貨店等の職員を名乗り、「貴方のキャッシュカードが不正に利用されています。」と丁重な言葉使いで電話を掛けるのです。高齢者の中には、その言葉に欺罔され自分のキャッシュカードが犯罪に使用されていると思い込み「ドキドキしてどうしたら良いのか判断がつかなくなる」そこが犯人グループの狙いです。
次に、銀行協会等や〇〇警察生活安全課の〇〇と名乗り、「キャッシュカードを使用できなくするために、家に訪問し手続きを致します。」と電話で告げて被害者宅に訪問するのです。
被害者宅において、キャッシュカードの提出を受けて、キャッシュカードを使用できなくするためにハサミで切って見せるのですが、この時ハサミを入れる場所は、ICチップが入った場所を避けて切ったり、言葉巧みに暗証番号も聞き出して、切ったキャッシュカードを封筒に入れ、封筒の口を糊付けして、封をした所に押印を求めるのです。被害者が印鑑を取りにその場から離れる隙に、犯人である受け子は、あらかじめ用意をしていたキャッシュカードの様に偽装した物が入った封筒とすり替えて、その封筒に押印させて、「新しいキャッシュカードが発行されるまで大切に保管して下さい。」と被害者に告げるのです。
被害者は、銀行協会や警察官を名乗った犯人の言葉を信用しきっているので、事件の発覚まで、7日から10日が過ぎてしまっている事が多く、その間に犯人グループは、コンビニエンスストア等のATMから預金額の全てを引き出すのです。


還付金詐欺の手口

また、多発しているのは還付金詐欺で、この手口は、医療費・税金・保険料等について「還付金があるので手続きをして下さい。」などと言って被害者にATMを操作させ、被害者の口座から犯人グループの口座に振り込ませる手口です。

事例をご紹介します。
犯人グループが高齢者の家を狙い無作為に電話を掛けて、電話器をとると「私、〇〇区役所保険課の○○と言います。みりど色の封筒で1万円の還付金の通知書はお手元に届いておりますか。」と丁寧な口調で説明します。高齢者の方は、焦ってしまい届いていない旨を告げると「期限が本日までなので、お近くのATMまでご足労でもお行きになり、至急、お手続きをお願い致します。銀行に到着したならば、もう一度お電話を頂きますと私がATM機の操作方法をお教え致します。」と言った旨を告げ銀行のATMに誘い、預金額すべてを犯人グループの口座に振り込ませるというものです。幸いにも銀行員の機転で犯行が発覚し警察が口座凍結の措置を取った事により被害が未然に抑えられた事もありました。
確かに、還付金はありますが、自治体では、すべて封書で通知をして、封書で戻してもらい、決定通知を郵送し、口座に還付金を振り込んでいるのです。 決して、ATM機では還付金は戻って来ない事を念頭に置いて頂きたいのです。
警察では、特殊詐欺を重点犯罪として指定し取締りの強化を図るともに、関係事業者・自治体と緊密な連携を強化しております。


自治体の取り組み

ここで、東京都荒川区生活安全課の取り組みを紹介させて頂きたいと思います。
荒川区では、荒川三署(荒川警察署・南千住警察署・尾久警察署)と連携をして、地区ごとにアポ電(犯人グループからの電話)があった旨の情報が区民や警察署からあると、防災無線を活用し、その地区に「還付金のアポ電」等が入っている事を素早く広報し地域住民に注意喚起を呼び掛けるのです。

その他にも 

・高齢者の活動に参加し防犯講話による防犯指導 
・高齢者宅に対し、今どの様な手口の詐欺が出ているかのチラシの配布(ポスティング活動) 
・職員2人組での高齢者宅を訪問し、手口の実演や予防策を紹介する防犯指導
(現在、コロナで中止) 
・新聞折込や町会回覧板で詐欺の手口や予防策の広報活動 
・安全・安心パトロールカー(青パト)による注意喚起の広報活動 
・自動通話録音機の無料貸し出し 
・アポ電が入っている地域のATMの警戒 

この様な活動により、東京都の中でも荒川区は、安全安心な街としての評価も高く、令和2年の特殊詐欺の発生が23区の中で2番目に少ない地域となっています。


地域での見守り

この様に、地域で優しく高齢者が犯罪被害にかからないように見守る事が大切で、「お金の話しが出たならば、それは詐欺」と思って下さい。 もしも、被害に遭ったならば、迷わずに警察に届け出て『被害届を出す旨の意思』を示して下さい。「時間がかかる・何度も同じ事を聞かれる・被害額が少な・面倒だ・恥ずかしい」と思わないで下さい。被害に遭ったお金は、戻って来ないかもしれませんが、また誰かが被害に遭わないためにも特殊詐欺を実行する者達に対し、厳しい法の裁きが確定するようにして下さい。
被害に遭わないためにも、高齢者のご家族も大変だと思いますが、一日一回、声を掛けてあげる事が大切なのです。

 

 

 

 

 


プロフィール

氏 名  小川 隆浩
1957年熊本県八代市生まれ
1975年 警視庁入庁
2017年 42年間勤務した警視庁を退職
現職時代は地域課、警務課、交通課、刑事課、組織犯罪対策課などにて数多くの功績をあげる。
退職後は荒川区役所生活安全課で防犯啓発指導員として、各種イベントにおいて防犯講話を実施して特殊詐欺等の抑止活動に従事。
現在は行政書士SR法務事務所にて行政書士として活動中。


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