本当に「なんでもいい」のか?【親と繋がる】

連載コラム

「何がいい?」→「なんでもいい」と言われるけれど

皆様は親に「何が食べたい?」「どこに行きたい?」などと聞いたとき「なんでもいい」「どこでもいい」という答えが返ってきて、逆に決めづらいと思ったことはありませんか。
離れて暮らしているからこそ、会っているときはなるべく喜ばせたいから親の希望を叶えたいと思うものの、上記のような答えだと少し張り合いがなくなりますよね。

先日、久しぶりに会った友人のお母様もまさにそのようなタイプだったそうです。
父親が亡くなり一人暮らしになった母親を気遣い、楽しい気分になってもらおうと「外で美味しいもの食べよう!なに食べたい?」と聞いてもだいたい「なんでもいい」という答え。そのわりに、いざお店に行ったら親はあまり料理に手をつけない。「美味しくないの?」と聞くと「そんなことはない」とは言うけれどさほど喜んでいるようにも見えず、いつも本心がわからなかったと話していました。

親子 すれ違う会話

昔の知り合いに会ったときの気づき

そしてある時、母親が「なんでもいい」と言ってしまう理由に気づいた出来事がありました。

他県に引っ越していた幼馴染の友達から連絡があり、親戚の法要のため地元に戻るので会えたら会いたいと言われて、実家に来てもらうことになりました。数十年ぶりの再会で、母親どうしもかつて親しかったので、母親に「向こうのお母様もご一緒にどうぞとお誘いする?」と聞いたらやはり「別にいい」と言うので少し残念に思っていました。
しかし当日、友達が「ぜひ会いたいというので」と言って自分の母親を同行してきたのです。「元気なうちに会えてよかった」と涙する友達の母親を見て、自分の母親も心を動かされたようでその後昔話に花が咲き、帰り際にはまた会う約束までしていました。

そんな母親を見ていて、私の友達は「母親が別に会いたくなかったわけではない、会いたいと自分から言いづらかっただけなのだ」と気づいたそうです。

高齢者 友達との楽しい会話

自分より他人を優先してしまう習慣が抜けない

友達は母親の会話を聞いていて、そもそも「自分の思いのために他人に動いてもらう(今回なら家に来てもらう)こと、自分の意見を通すこと」に相当の遠慮があること、ひいては「自分なんかにわざわざ会いたいと思う人はいない」と思い込んでいたことがわかったそうです。
年齢を重ねてその思いがより強固になった結果、何を聞いても「なんでもいい、別にいい」というように、自分はどうしたいのかとは考えないことが当たり前になっていたのだということも理解できたようです。

親世代の女性は結婚して他家に入ると、自分の意見や希望を気軽に言える雰囲気ではなかったでしょう。また何をするにもまず「夫は、子供はどうなのか」が最優先で自分のことは後回しにしてきたと思います。その名残が今も残っていて、自分の気持ちを封印してしまう習慣がついた結果、意見を聞かれてもすぐに答えが出せず「何でもいい」と答えてしまうのだと感じました。

気持ちを封印する高齢者

まずは「選択する」ことから慣れていく

上記のように皆様の親御様が何に誘っても気のない返事が続くようであれば、いくつか選択肢を用意してそのなかから選んでもらったり、昔のお知り合いと会う機会を持ってみると、気持ちが活性化してくるかもしれないなと思いました。

自分で自分の気持ちがわからないときは「何がいい?」と問われるより「どれがいい?」と聞かれるほうが答えやすいのは実際のカウンセリングでも経験します。
こうして徐々に、親が本当は何を求めているか、好きなのかに親自身が気づければ、子供世代とも心地よい関係が築きやすくなりますよ。

高齢者 選択肢


プロフィール

氏 名  佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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