介護保険負担限度額認定 預貯金残高が1000万円超えていると対象外?【親の生活】

連載コラム

介護保険負担限度額認定とは?

介護保険施設(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院)や短期入所(ショートステイ)の利用でかかる食費・居住費の負担を軽減することができる「特定入所者介護サービス費(補足給付)」という制度があります。
この制度を利用するためには、「介護保険負担限度額認定」を受ける必要があります。「介護保険負担限度額認定」を受けるには、所得要件資産要件があります。
要件に該当しない方は、対象外となります。
預貯金残高が1000万円超えていると対象外と言われているのは、ここでの資産要件です。令和3年7月31日までは、資産要件が一律 単身では1000万円以下・夫婦では2000万円以下でした。そのため、所得要件はクリアしているのに資産要件がクリアできていないため、対象外となるケースありました。

しかし、資産要件は令和3年8月1日から変更になっています。合わせて所得要件も変更されていますので、注意が必要です。

表1:令和3年8月1日からの所得要件・資産要件
令和3年8月1日からの所得要件・資産要件※本人の公的年金収入額には、遺族年金や障害年金等の非課税年金も含まれます。
※上記要件に該当しない場合は、負担限度額認定の対象外となります。

単身で一律1000万円以下であったものから、かなり細分化されて第3段階②では500万円以下になっています。要件が変更されたことにより対象外となってしまった方もいたと思われます。

資産要件の対象となる資産

<預貯金等に含まれるもの>
・預貯金(普通・定期)
・有価証券(株式・国債・地方債・社債など)
・金や銀などの購入先の口座残高によって時価評価額が容易に把握できる貴金属
・投資信託
・現金(タンス預金も含まれます)

<預貯金等に含まれないもの>
・生命保険
・自動車
・腕時計
・宝石などの時価評価額の把握が難しい貴金属
・絵画
・骨董品
・家財
※住宅ローンや借入金の負債は、預貯金等から差し引くことができます。

慌てて資産を減らそうとする方がいますが、まずは「特定入所者介護サービス費(補足給付)」でどのくらいの負担軽減ができるのかを確認してみましょう。

特定入所者介護サービス費(補足給付)の仕組み

介護保険施設や短期入所を利用した場合、サービス費用の1~3割負担の他に、食費・居住費等が利用者負担になります。利用者負担は、施設と利用者の間で契約によって決められますが、基準となる額(基準費用額)が定められています。

表2:基準費用額 施設のおける1日あたりの食費・居住費等の平均的な費用を定めた額
基準費用額 施設のおける1日あたりの食費・居住費等の平均的な費用を定めた額
特定入所者介護サービス費(補足給付)は、表1での利用者負担段階ごとに負担限度額が設定されていて、基準費用額と負担限度額との差額が、介護保険から「特定入所者介護サービス費(補足給付)」として施設に支払われます。

表3:1日あたりの利用者負担段階ごとの負担限度額
1日あたりの利用者負担段階ごとの負担限度額
例えば、利用者負担段階が第1段階の方がユニット型個室を利用した場合で計算してみましょう。

基準費用額
担限度額
食費 1,445円×30日=43,350円
居住費等 2,006円×30日=60,180円

負担限度額
食費 300円×30日=9,000円
居住費等 820円×30日=24,600円

 補足給付
食費 43,350円-9,000円=34,350円
居住費等 60,180円-24,600円=35,580円

基準費用額

この場合、補足給付は1か月あたり34,350円+35,580円=69,930円となります。
介護が5年間続いたら、69,930×12か月×5=4,195,800の補足給付されることになります。
補足給付の対象となるか否かは、利用する方にとってはとても重要なことですね。
対象とするために、預貯金等を減らしたらいいかは補足給付がどのくらいになるかでも変わってきます。
利用する方の利用者負担段階を確認し、補足給付のシミュレーションをしてみてください。
注意:基準費用額や負担限度額は、変動があります。(数字は2022年使用されているものです。)

補足給付のシミュレーション


プロフィール

氏 名  渡辺 美智代
1966年 神奈川県横須賀市生まれ横須賀育ち
ファイナンシャルプランナー オフィスまみぃ代表
横須賀市とその周辺の地域を中心に個別相談・相談会・セミナー講師をしている。終活カウンセラーを取得してからは、葬儀会社と連携し、葬儀後の各種手続きのサポートも行う。
実績
横須賀市の弁護士・税理士・行政書士・社会保険労務士と「横須賀知恵袋」という団体を作り、月1回の無料相談会を開催
その他の事業
「起業ママ支援ユメノタネプロジェクト」
「ファイナンシャルプランナー資格活用塾FP+」
「介護・相続サポート窓口」 他


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