⑦高齢者コミュニティの大切さと危うさ【親と繋がる】

連載コラム

親世代にはコミュニティの存在が大切

コロナ禍の状況では他人との接触をできる限り避けるように気を付けなくてはなりませんでしたが、その影響で単身世帯の方の孤立化が精神的に不健康な状態を生じさせるケースが増えたようです。

しかし最近は感染者数もかなり減り、少しずつ以前の日常が戻りつつあるのは喜ばしいことです。特に親世代にとってはなんらかのコミュニティで他人と触れ合う機会を持つことはおすすめです。それにより社会とのかかわりを感じることができ、生活にも楽しみや張り合いが出てくるでしょう。

シニア コミュニティ

とはいえ、親世代が集まると、思いもかけないトラブルに巻き込まれることもあるので注意が必要です。

以前ある子供世代の方からお聞きした事例です。
病床の父親を看取り、一人暮らしとなった母親が落ち着いてきたころに、今まで父親の看病で大変だったことに対する労いの気持ちで、母親にこれからは自分の好きなことをしてほしいと思い、地域で募集されている趣味の教室に通うことをすすめたそうです。
刺繍が好きだった母親は手芸教室に参加することになり、やがてその教室で友達もできて楽しそうでした。これなら父親のいなくなった寂しさも少しずつ癒されるし、他人と接することで母親の認知症も防げるだろうと、その方も喜んでいました。

高齢者 趣味 手芸

それから半年くらいたち、久しぶりに実家に帰ったとき、ふとクローゼットを開けたところ、どう見ても母親の好みではなさそうな派手なプリントのTシャツが何枚かハンガーにかかっていたそうです。
母親に聞いてみると、教室の友達が家に遊びに来て、お互いの不用品を交換した時に受け取ったものだとのこと。そして母親は何と交換したのか覚えていなかったのです。
不審に思って母親のタンスなどを見てみると、指輪やネックレスがいくつかなくなっていることに気づきました。確かに今は不用品かもしれませんが、明らかに対価が違いすぎです。
母親に問いただしても、交換した記憶はあっても誰と何を交換したかまでは覚えていないので特定できません。
その教室の主催者に連絡をしたところ、最近認知症の症状が出てきたため、ご家族から退室の申し出があった方が数名いらしたと言われたそうです。
結局、誰と交換したのかはわからず、その方は自分が教室に参加することを勧めたことをとても悔やんでいました。

高齢者 認知症

お互いの「判断能力」の曖昧さがトラブルにつながる

親世代になると、日常生活に支障がなくても、ところどころの記憶が薄れたり、他人の話を理解する能力や価値判断の能力が衰えてくることがあります。

上記の事例のように、Tシャツと宝飾品を交換しようと申し出ることも、それを受けてしまうのも、お互いの理解力、判断力が曖昧になっていたことから起こったと思われますが、普段は普通に会話したり生活できているので、相手の言い分を信頼して納得してしまったのでしょう。
もし、あとで「しまった」と思っても、同じコミュニティにいる相手ゆえに関係を悪くしたくないと遠慮する思いがあるでしょうし、自分に都合の悪い記憶はそのうち忘れてしまいがちです。
親世代の難しいところは、状況判断能力に個人差があり、何か問題が起きない限り周囲がその衰えに気付かないことかもしれません。

円滑かつ楽しくお付き合いをするために

親世代になってから出会ったコミュニティで楽しくお付き合いをするために、以下のことに気をつけたほうがいいかもしれません。

・基本的に自宅には招かない

あるコミュニティで出会った方とは、そのコミュニティの中でのお付き合いにとどめるか、自宅外でお会いして親交を深めるようにします。お付き合いが長くなり、信頼できる相手と思えても、その年月の間に理解力や判断力が衰えている可能性があります。

・金品、物品が絡むことは大人数のいる場で行う

品物をプレゼントしてもらったのに、くれた人の家族から後ほど「取られたと言っているので返してほしい」などと訴えられるケースもあります。食品などの消え物以外のやりとりは避けるほうが無難ですが、やむを得ない場合はある程度の人数がいる場で行うようにします。

・たまにコミュニティの話を聞いてみる

普段近くにいないからこそ、話題のひとつとして親世代がどんな人とお付き合いがあり、どんな活動をしているか聞いてみてください。そして実家に行ったとき、一応棚の引き出しやタンスの中なども確認してみましょう。健康食品を勧められて断り切れず購入し、棚にしまいこんで忘れてしまいさらに購入し続けていたという事例もありました。

高齢者 コミュニティ

年齢を重ねると、悪意があるなしにかかわらず、個々の判断能力や説明能力の衰えがまちまちであるゆえのトラブルが起こる可能性があります。しかも親世代は「集団の和を乱してはいけない」と言われて育っていますので、NOを言えずつい周りに合わせてしまうことも多いでしょう。

人とのつながりは保ちつつ、お互いの「無意識の老い」が出てくることもふまえたおつきあいを心がけて、日々の生活を楽しんでほしいですね。


プロフィール

氏 名  佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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