親の孤独感【親と繋がる】

連載コラム

が孤独感を感じないようにする働きかけとは?

コロナが親世代に与える影響

2年近くにわたるコロナ禍で、気軽に人と会える機会はかなり減ってしまいました。
考え方によっては今までなんとなく続けていた、無駄なお付き合いをしなくてよくなったとも言えますが、社会的な活動範囲がそれほど広くない親世代にとっては、一日誰とも話をせずに過ごすことも多くなっているかもしれませんね。

最近のカウンセリング事例でも、ご高齢者の方のご相談が増えてきています。内容は様々ですが、多くは家族とコミュニケーションがとれない、話す相手がいない寂しさなどから生じる精神的な落ち込みについてです。

親世代は、加齢にともなって自分が毎日何らかのことをできなくなっていくのではないかという不安感や恐怖感を日々抱えていても、「他人に迷惑をかけるな」という価値観で育てられた時代の人たちなので、そのような自身の気持ちを言葉にして表すことに慣れていません。以前と違い子供との同居が当たり前ではない現代、子供であっても相手に頼るのは負担をかけてしまうと感じ、自ら連絡するのを遠慮している方も多いようです。

人と会話をするのは高齢者にとって脳に適度な刺激を与えられるし、なにより「自分は一人ではない」という連帯感、安心感を持てることにつながりますが、コロナ禍に追い打ちをかけられ、親世代の方はよけいに一人で孤独感や寂しさを抱え込んでしまっているのではないでしょうか。

高齢者 孤独

孤独感を募らせてしまったときの心配行動

たまにスーパーや病院、役所などで職員にずっと話しかけている高齢者の方を見かけます。目の前の出来事に対して理解に時間がかかってしまうということもあるのでしょうけれど、もしかするとそれは寂しさの裏返しで、ただ話したいだけなのかもしれません。

また、電話で突然「みんなの体調は大丈夫か、ちゃんと食事をさせないと風邪をひくよ」などと延々とアドバイスをしだして家族が面食らってしまうというようなこともあります。孤独感を解消する手段として「自分のことを必要と思ってもらいたい」と考え、そのためには何か相手の役に立たなくてはいけないと思い込んでそのような行動に至るのです。

高齢者 アドバイス

そのような思いが強くなってくると、犯罪まがいのことに巻き込まれることもあります。
不安や寂しさを抱えている高齢者につけ込み、「不用品の回収」「屋根の塗装がはがれているので直さないか」など、色々な話を持ち掛け、家に上がり込み話し相手になって信用させたうえで、高額商品を契約させるといったトラブルは年々増えているようです。

子供世代にできる働きかけとは

親世代のそんな気持ちを理解しつつも、子供世代は自分自身の仕事や家事育児に忙しくてなかなか対応できていない方も多いと思います。
かといって放置したままでいるのも気になるようでしたら、以下のような、お互い気軽に連絡しあう手段をいくつか試してみてもいいかもしれません。

・電話のワン切りを日課にしてもらう

話す時間はなかなかとれないけれど、「今日も元気だよ」というメッセージは送ってほしいからと言って、一日一回、自分の携帯にワン切りしてもらうことを親にお願いしてみましょう。親にとっては「忙しくても自分を気にかけてくれている」という安心感につながります。二日連続でかかってこなければこちらから連絡したり訪問するといったルールを作っておけば、いざという時に駆けつけてきてくれる心強さから不安も和らぎます。

・通話アプリのスタンプ機能を活用する

携帯電話を持っていて、子供にメッセージを送りたくても、メールのように文字を打ち込むのは苦手という親世代は多いです。ならば、通話アプリをダウンロードして、絵柄やスタンプを送るやり方を教えてあげるのが良いでしょう。文字を打つより操作は簡単ですし、その時々の気持ちが伝わるスタンプを探すのも脳の刺激になります。子供世代から返信する場合でもスタンプなら時間もかかりません。
もし親世代がスタンプ送信に慣れて、文字入力にも興味を持ち、チャレンジするようになればなおいいですね。

高齢者 スマートフォン

・会話の最後に「〇〇しようね」という投げかけをする

電話やメール含めて親世代と直接会話をするとき、最後の締めの言葉を単純に「またね」「さよなら」ではなく「〇〇でいてね」「〇〇しようね」という言い方に変えてみましょう。日常顔を合わせていない人との会話は、最後の言葉が特に心に残ります。「今度会ったらお寿司食べようね」「年末帰省するから元気でいてね」など、未来に希望が持てる言葉をかけることで、親世代にとってはそれが明日を生きる励みになり、孤独感や寂しさを癒す一つの手立てになります。

高齢者 声かけ

毎日のちょっとした習慣や声掛けで、親世代の不安な思いを少しでも軽くできたら、気持ち安らかに穏やかな日常を送ってもらえるのではないでしょうか。


プロフィール

氏 名  佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格


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