遺言は「人生のふりかえり」【親と繋がる】

連載コラム

「遺言書作成」には気が進まない親世代

先日、高齢者の方の某趣味の会に参加させていただきました。皆様とても楽しそうに取り組んでいらして、最後にお茶をいただきながらおしゃべりタイムとなりました。

話題が遺言に及んだ時、ある方が「自分は子供がなく、夫が亡くなってから一人暮らしなので、近くに住んでいる亡夫の姪に日常の世話をしてもらっている。最近その姪から『自分にも遺産を分ける』という遺言を書いてくれと言われているが、気が進まない」というお話をされました。
その方の法定相続人としてはすでに亡くなっている実姉の子供が一人いらっしゃるようですが、今もほぼ付き合いがないそうです。ゆえに亡夫の姪が「日常お世話をしている自分にではなく、その子供に遺産が渡るのは納得できない」という主張をされているとか。
その話を聞いた周りの方は「それならお世話になったお礼を兼ねて遺言を残してあげるべき」「姪ごさんのお気持ちもわかるわ」と口々に遺言書作成を勧めていましたが、当のご本人は「遺言なんてまだ早いでしょ」とあまり意に介していませんでした。

高齢者 遺言書

「遺言」に対するイメージが重すぎる?

最近は雑誌やネットでも「終活」に関する記事をよく見かけるようになりましたが、「遺言」となると仰々しさや重たいイメージを持たれる親世代の方が多いのでしょう。

代々の資産家で専属の会計士さんや銀行の担当者がついているようなご家庭は用意周到でしょうけれど、一般的なご家庭の方であれば
「遺言書を書くことや、公証役場に届け出る手続きなどがそもそも面倒」
「遺言書を書いたとしても、どこに保管したのかあとで自分が忘れそう」
「遺言書を書いてしまうと“より多く残してあげなくては”とプレッシャーに感じたり、逆に相続予定の親族から“無駄使いしないで”と使い道に不満を言われたりなどで、自分の資産を自由に使いづらくなるのではないか」
といった心的負担を感じるのかもしれません。

また、「遺言書を書くと自分が死に近づいている気がしてイヤだ」と感じることもあるでしょう。特に、親世代でもお元気で趣味にボランティアにと人生を謳歌している方からはこのような話をよく伺います。
「遺言」に対するネガティブなイメージを払拭するのはなかなか難しいことなのですね。

高齢者 遺言書

まずは一緒に「人生のまとめ」に取り組んでみる

とは言っても親世代はいつ何が起こるかわかりません。ご本人の意思や資産などを確認できないままお亡くなりになった場合、遺された人たちの物理的心理的負担は大きく、状況によっては親族間の争いのもとになります。

 遺言書としての法的効力はないかもしれませんが、まずは「人生のふりかえり」と称して、「家族、友人へのメッセージ」を保存したり、現在の生活を見直してみたり、自分史やこれからやってみたいことを書き記すツールなどを親と一緒に利用してみてはいかがでしょうか。

ネットのサービスであればノートよりも簡単に取り組めて、家族同士でデータを共有できるので「どこにしまったか忘れた」という事態を防げるし、訂正や書き直しも容易です。
そうしてだんだん親の気持ちが整理されてきたら、改めて正式な「遺言」という形式にするのも良いでしょう。
親子で楽しみながら「親の人生のまとめ」に取り組んでいただけたらと思います。

高齢者 遺言書

そのようなサービスのひとつに、東急ラヴィエールさんが運営されている『HIRAQLノート』があります。
登録をすれば無料で利用が出来るオンラインノートで、入力をしていくことで自分が何をしたいのか考えを整理したり、大切な情報を家族と共有したりできるサービスなので、このようなものを活用して、ご家族でお話しをしてみるのもいいかもしれませんね。
参考:HIRAQL(https://hiraql.tokyu-laviere.co.jp/hiraql


プロフィール

氏 名  佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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