帰省で感じる子世代のモヤモヤ【親と繋がる】

連載コラム

帰省した方が親は喜ぶと分かっていても

2021年もあと少し。慌ただしく12月が過ぎていくともう年末年始を迎えます。

この時期に仕事のお休みをとり、普段なかなか会えない親に顔を見せがてら、実家に帰省する予定の方も多いと思います。

帰省
親世代も子供世代も、お互い会うのを楽しみにできる帰省であればよいのですが、実は必ずしもそうではないケースもあります。
例えば以前から実親との関係が良くなくて、話せば必ずケンカになるとか、義両親とどうもそりが合わず、会うのが億劫という方も少なからずいらっしゃいます。

そんな場合、できれば会いたくないけれど年末年始は実家で過ごすのが習慣となっているし、親もそれが当然と思っているし、やはり帰省せざるを得ないかな…などと色々考えて気持ちがどんより、モヤモヤしてしまいますよね。

帰省のモヤモヤ

帰省のモヤモヤの正体は・・・

先日、息子夫婦を持つ親世代の方のお話をいくつか伺いましたが、一昔前と比べると「お嫁さんに厳しい義両親」は少なくなって「いかに息子家族と仲良くできているか、お嫁さんともいい関係であるか」が老後の幸せ基準の一つになっているように感じました。地域差もあると思いますが、親世代もそれなりに子供世代に気を遣っているのでしょうね。

しかし親世代は、様々な人と交わる機会が少なくなりがちなので「自分が知っている世界」の価値観でしかものごとを想像できなくなっています。
そうするとどんどん「心の弾力性」は失われ、自分がいい(悪い)と思うことがみんなにもいい(悪い)のだという決めつけの言動をしてしまいます。

もし親世代の日常会話で、他の誰かに「〇〇してやった」という言い回しが増えていたら、考え方に柔軟性がなくなってきているかもしれません。

帰省で感じるモヤモヤは、親世代が悪気なく行う上記のような価値観の押し付けにあるのだと思います。
特に子供への愛情を「心配すること」で表現するタイプの親世代だと、顔を合わせればここぞとばかりに「ずっと独身でいるなんて人として半人前だから、早く結婚しないと」などといったダメ出しのようなアドバイスをしてくるでしょう。

価値観の押し付け

子供世代にすれば、変な理屈だと頭では理解しながらも「親の期待に応えられていない自分」を認識させられてそれが罪悪感につながり、自信がなくなったりイヤな気持ちにさせられます。

いくつになっても親の言葉は精神的な影響力が強いだけに、そんな思いをするために帰省するのは気が重くなりますよね。

モヤモヤ、イライラを感じた時には

そうはいっても帰省は避けられない状況である場合もあるでしょう。もしそうなら、親世代に対してモヤモヤ、イライラを感じた時に以下のことを試してみてください。

・心の中で「知らないんだな」と一言つぶやく

人は知らないことを想像できないので、雪を見たことがない人に雪の説明をするのは難しいです。同様に、親世代が生きてきた時代は現代と違いすぎるので、違うと思って反論しても納得されないでしょう。
であれば「知らないんだな」と心の中で答えて、あとは
へえ
そうなんだ(ですか)
なるほど
そうだろう(でしょう)ね
どうだろう(でしょうか)ね
を繰り返してやり過ごします。
親世代は子供が自分の話を理解したかどうかはさほど気にしていませんので、適当な相槌で話を流しましょう。

・客観性で返す

「〇〇したほうがいい」「〇〇しないと将来困る」といった、こちらが求めていないアドバイスに対しては客観的な事実なのかをあえて聞いてみます。
「それは実験で検証されたり証明されていること?」
「実際に困っている人が身近にいる?」
「今の生活に具体的にどんな影響がある?」
というように、数値的なデータや具体的な実体験に基づくことかを確認すると、たいていはそれ以上の話にならずにすみます。こういったアドバイスは、親の心配から生まれる漠然としたイメージで語られることが多いからです。

客観性

・突然話を変える

上記にも書きましたが、親世代は自分の話を聞いてもらえれば良く、内容について議論しようとは思っていない方が多いように見受けられます。
ですので、あまり聞きたくない話の流れになってきたと感じたら「そうですね…あ、喉乾いてきましたね。お茶いれてきます。」とか「ふうん…そろそろニュースの時間じゃない?テレビ見よう」というように、突然話を変えて断ち切ってしまうのも手です。そのうえで新たに話題をふればそちらに流れていくので、またイヤな流れになってきたら突然話題を変えることを繰り返していればなんとかやり過ごせるでしょう。

そしてまだ検討の余地があるなら、無理して帰省しないという手段もあります。
帰省することだけが親孝行ではありません。
本当の親孝行は、子供自身がどこにいても幸せに過ごせていることだと思います。
そのかわり、電話やメール、手紙やカードで「いつもありがとう。あなたのことを気にかけています」というメッセージを送ってあげるといいでしょう。

感謝の手紙

いずれにしても親世代、子供世代どちらも心穏やかな年末年始を過ごせるといいですね!


プロフィール

氏 名  佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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