④美味しさは健康の源泉【親の心と体】

連載コラム

秋も深まり、紅葉も地域によっては終わりに近づいてきました。
私は京都市出身で、高台寺のライトアップを観て感動しました。
料理の懐敷に紅葉などの葉をよく使います。高校卒業後最初に働いた店の親方に「綺麗な落ち葉を拾ってこい。夜露がかかったんはあかんで。今朝落ちたやつやで。枝になってるのは絶対折るなよ。自然を傷つけたらあかん」と言われ、なぜ夜露がかかったものが駄目なのか分からず、出来るだけ綺麗な落ち葉を集めて持ち帰ると、今朝落ちたものと昨日落ちて夜露がかかったものの見極め方を教えてもらった事を、秋になるたびに思い出します。

料理屋って自然の生態系が崩れると困ります。食材もしかり、落ち葉一つにしてもしかり。献立を考えるところからおもてなしがスタートし、どうすれば感動して頂けるのか?
生きていくうえで必要不可欠な食事。一番身近で、食べなければ生きていけない、食で感動や新しい発見を絶やさない生活が出来れば、脳も活性化して認知症を防げるのでは?と、一料理人として考えます。

紅葉
秋の食材と料理人の塩の使い方
塩と上手に付き合う

秋の食材、キノコの栄養素は全編でも述べたように抗がん作用等の効果があリます。では、何と合わせるのか?
体力が低下したときや、これから体力が必要というときによく食されるニンニク。
私も大好きで、よく食べます。
そのニンニクとキノコはとても相性の良い食材です。
そんな中でもマッシュルームとニンニクのオイル煮、いわゆるアヒージョは絶品です。
単純な調理工程、しかも栄養満点で抵抗力も養える、私個人的に毎日でも食べたい料理の一つです。

作り方は簡単で、布巾で拭いたマッシュルーム、皮をむいて芽を取ったニンニクを鍋に入れ、浸るくらいのオリーブオイルに塩コショウ適量、お好みで鷹の爪を少々。(海老を入れるのが定番ですが、そこはお好みで)
くつくつと直火で煮て、ニンニクが柔らかくなれば出来上がり。
ホクホクのニンニクが食べれます!

マッシュルームのアヒージョ

食べ終わった後に残ったオイルはニンニクの成分と香りが付いているのでガーリックオイルとしても使えます。
パンに塗る、ガーリックライスの風味付け、ペペロンチーノ、インスタントラーメンに少し垂らすなどなど、用途は沢山あります。
ここでは塩を味付に使いますが、料理人の使い方を少しお話ししましょう。

塩

青菜に塩
昔からあることわざですが、青菜に塩をすれば水分が失われてヘナっとする、元気が無い様を表す時に使いますよね。
酢の物の胡瓜や膾の大根人参等を塩もみする事を“塩で殺す”と、我々は言います。
この“塩で殺す”という塩の使い方はよくします。

味を付ける

一番ポピュラーな使い方です。

味を締める

煮焚き物や清汁を作るとき、醤油の塩分だけではなく塩で味を調えます。
味付けするのではなく、出汁、醤油、味醂などを塩でつなぎ合わせると言いますか、各々を塩でまとめます。

旨味を引き出す

魚なんかによく使いう手法で、〆鯖はべた塩を3時間して水分をしっかりと抜き、旨味を引き出したところに酢に30分浸します。
甘鯛は同じくべた塩を2時間して水分を抜きます。
鰤や鰆などの味噌漬け用は切り身にして降り塩し、水分を出して味噌に3日間漬け込みます。
烏賊は造り身にしたあと降り塩すると甘みが増します。
ドイツ料理のアイスバインという豚肉の塩漬けを煮込む料理があります。こちらも旨味が凝縮されていてとても美味しいです。
このように、塩の使い方は様々で、美味しい料理には欠かせない調味料の一つです。

糖質オフにも役立つ塩

甘み=旨味と感じるのは人間だれしも。恐らく脳が錯覚しているのだと思います。
通常、糖類を使って美味しく食しているものを、糖類を少し控えて塩をごく少量足す事により、糖類の摂取量を抑える事が出来ます。また、食材などの旨味も増します。
例えばコーヒーに砂糖を入れる方は、砂糖を減らして少しの塩を入れれば甘みが引き立ち、糖質オフにも繋がります。

塩を使って糖質オフ

日常的に摂取している糖類を、少しの塩を使って摂取量を減らす。
高齢で体重を気にされている方も、これなら無理なく糖質制限出来るのではないでしょうか。
ただ、塩分の取り過ぎにも十分ご注意を!

共に食事をする時間を

コロナ禍で離れて暮らす両親に会う機会が減ってしまいました(私もその一人です)。
最近は感染者が激減し、規制緩和が進んでいますので、帰省の際には是非、ご両親と日頃行かないお店や、懐かしいお店に行ってお食事されてはいかがでしょうか?
楽しかった思い出、美味しさや新たな発見で脳を刺激する、五感に訴えるひと時を、苦楽を共に生きた、かけがえのない家族と過ごす大切な時間、病を予防するにはシチュエーションも大切です。
日頃の制限食や免疫に意識した食事では補えきれない部分をきっとフォロー出来るでしょう。

家族で食事

食事の大切さ

私の経験を少しご紹介すると、数年前、有料介護施設で認知症を患われた方々に、赤酢で合わせたシャリで寿司を握って差し上げました。数人のご婦人がゆっくりと噛みしめるように数貫召し上がると、涙をポロポロ流されたので、「山葵が多かったですか?」と尋ねると、「昔の楽しかった時の事を思い出したのよ」と、喜ばれていました。言葉少なに。

その時、自分はとても良い仕事に携わっていると改めて実感したのと同時に、料理や食事の大切さ、また、それらで“人の病の進行を遅らせる、軽減できる、予防できる”。と、確信した瞬間でもありました。

お料理、お食事が、ただ空腹を満たすだけのものではなく、美味しいだけでではなく、どれほど人にとって大切なものなのか、料理人として伝えていきたいと思っております。
皆様も是非、大切な人とお食事をする時間を作って、楽しんで下さい。様々な病の予防にもなります。
※くれぐれも感染対策をお忘れなく。


プロフィール

氏 名  青山 憲正
1965年 京都生まれ京都育ち
京都商業高校卒業後、京料理の世界へ。
宮川町や先斗町の料理屋、京都ホテル(現 京都ホテルオークラ)などで修業を積み、京都宝ヶ池プリンスホテル(現 ザ・プリンス京都宝ヶ池)の和食料理長に就任。京都 西陣 お料理あお山 店主、レストランサントリーメキシコ総料理長、宮川町水簾東京ミッドタウン店料理長、某社会長のパーソナルシェフなどを経て、現在、金谷ホテル観光株式会社調理部部長及び鬼怒川温泉ホテル料理長を兼務する。
実績
秋篠宮ご夫妻、小泉元総理をはじめ各界の方々から一般消費者の方々のお料理
商品開発
生産者と消費者をつなぐ第六次産業ビジネス、電子レンジ特化型商品、糖質制限食、高齢者要介護者向けお食事 他
掲載歴
専門料理 婦人画報 メイプル HANAKO(準グランプリ獲得)京都新聞 他
教育
和食ワールドチャレンジ優勝者排出 フードコーディネータースクール講師 他


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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