伯母の死去で思うこと【親と繋がる】

連載コラム

今回は親子についてのテーマではありませんが、離れて暮らす親世代の方にも通じるところがあると感じ、私自身の経験をお伝えいたします。

繰り返す電話のコールが意味するもの

私には電車で1時間ほど離れたところに住んでいる伯母がいました。90代半ばと高齢で、それなりに身体の老化はあるものの元気で受け答えもしっかりしており「施設より自宅がいい」と言って一人暮らしをしていました。しかし年齢を考えると何があるかわからないので、心配した母が数年前から携帯電話を持たせ一日一回安否確認を兼ねて電話をしてもらっていました。

先月のある日の夜、母から「伯母から二日間電話がない。かけても出ない」と電話がありました。私も伯母に何度か電話をしてみましたがやはり出ません。次の日の朝もずっと繰り返される呼び出しコールに「これはただごとではないかも」と感じ、伯母の家に向かうことにしました。

高齢者 安否確認

叔母の自宅に駆けつけながらよぎる不安

伯母の自宅に向かいながら色々な可能性を考えました。ちょうどその前の週末に伯母含めて家族で食事をしたばかりで、その時は通常どおり元気でした。生命にかかわるような持病もないので、もしかして犯罪に巻き込まれた?何かの理由でトイレやお風呂のドアが開かなくなり閉じ込められている?そう考えると、一人で自宅に入るより第三者がいたほうが安心と判断して、先に最寄りの交番に寄り事情を話して、お巡りさんに同行してもらうことにしました。

結果、自宅内で転倒しての死去でした。それからは慌ただしく様々な手続きを行い、荼毘に付すことができました。

叔母の死去で思ったこと

ようやく落ち着いてきた最近、伯母の死去を振り返って思うことがあります。

1.親世代の「大丈夫」は大丈夫ではないこともある

伯母に「お掃除などが大変だったら手伝いに行きますよ」と言うと、いつも「大丈夫。ゆっくりやるから」と言われていました。ここ数年はあまり自宅に来てほしくなさそうな様子でしたが、コロナ禍だからかなと思っていました。
しかし今回自宅に入ると床に色々なものが置きっぱなしになっていて、やはり自力では片付けられなくなっていたのだと気づきました。これが転倒の原因になってしまったのでしょう。私達に負担をかけまいと気遣ってくれての「大丈夫」という返事だったと思うと心が痛みました。
親世代の「無理して帰ってこなくていいよ」といったメッセージが多くなったら、逆に気遣ったほうがいい時があるかもしれません。

2.毎日の安否確認が大切

伯母の場合は電話でしたが、どんな手段であっても、「今日も元気だよ」とお互い確認していることが大切と感じました。親世代はどんなに元気に見えても、明日なにが起こるかわかりません。新しいことを覚える気力があるうちに対応しておくことをお勧めします。

3.生活圏を歩くことで親世代への理解が深まる

伯母と会う時、伯母はいつも食べきれないほどのお菓子や果物を買ってきてくれました。「そんなにたくさんいただけないし、重いからお買い物してこなくていいですよ。」と伝えても必ず山ほどお土産をくれました。

このたび伯母の利用していた様々な会員カード等を解約するにあたり、自宅近くのお店は直接伺って申し出をしてきました。そういえばこのお店の〇〇の話をしていたな、などと思いだしながらぶらぶらと歩き、いつもお土産を買ってくれていたお店に行くと、家族連れや老夫婦が両手いっぱいに買い物していました。

それを見ていてふと、伯母は普段自分一人分の食材しか買わないのが寂しかったのかもしれない、だから私達と会う時、たくさん買い物をする理由ができて嬉しくて買いすぎていたのかなと感じ、伯母の気持ちを理解できた気がしました。

そして家のなかの整理を始めたとき、いつも持っていたハンドバッグの中に端がボロボロになった伯母の両親(私の祖父母)の写真が入っているのを見つけました。
いくつになっても、子供にとって親は親なのだと感じ胸が詰まった一瞬でした。

高齢者 思い出の写真

親世代とはいつか別れるときが来ますが、それまでの毎日を大切に、楽しい思い出をたくさん作っておきたいですね。


プロフィール

氏 名  佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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