一旦やめたらもうできない?【親と繋がる】

連載コラム

春になると増えるリハビリ

先日、高齢者のリハビリ運動を担当している介護士さんとお話しする機会がありました。
その方いわく「春になるとリハビリ利用が増えてくる」そうです。春になり暖かくなってきて外出しやすくなるということもありますが、冬の間寒いためになるべく動かずに生活してきたことにより、必要な運動能力まで衰えてしまうからではないかとおっしゃっていました。

高齢者に限らず、冬はなるべく暖かい場所から動きたくありませんよね。寒い時はコタツから手の届く範囲に、よく使うものをすべて置いたりしている方も多いと思います。

とはいえ高齢の方の場合、だんだん入浴や洗顔もしなくなったり、一度出したものを片付けずに、ついそのまま出しっぱなしにしてしまいがちになります。私達の世代と違い、人と会う用事もそんなにないでしょうし、コロナ禍で家に人を招くという機会も減っているのでなおのこと、寒さを理由にして家の中にこもり、さらに動かない生活になりやすいと思います。

高齢者 リハビリ

一度やめたことに再び取り組むのは億劫になる

高齢になればなるほど、日常の細々としたことに対応するのが億劫になってきます。仕方がないことではありますが、入浴や洗顔、料理など生活全般に関わることは衛生面や健康面が心配ですし、日常で手先や身体を動かす機会が少なくなれば脳への刺激も減ってきますから認知症やうつ症状の誘因にもなります。

一度やめてしまったことに再び取り組むのは、体力や知力が衰えつつある高齢者には面倒に感じ、ものが散乱した部屋も見慣れてきて、片付けようという意欲もわかなくなるでしょう。こういった状態を長く放置しておくと、床に置いてあるものにつまずき転倒して怪我をしたり、いつの間にか家がゴミ屋敷のようになっていた!という事態になりかねません。

高齢者 ゴミ屋敷手を貸しすぎず、見守る対応をする
洗顔や入浴であれば、こちらから外出や帰省の予定をあえて入れていけば親に「身だしなみを整えなくては」と思わせやすいでしょう。出しっぱなしのものがあれば一緒に片付けてみて、どうしたら親が片付けやすいようになるか収納方法を変えてみたり、思い切って断捨離をすすめてみてもいいかもしれません。

これは私の知人の話ですが、親に楽をさせてあげようと、実家に帰るたびに掃除をしたりものを片付けていたら、親自身がほとんど掃除や片付けをしなくなってきて、帰るたびに家の乱雑さが目立つようになったうえに、親の足腰も弱ってきたそうです。

体力は個人差が大きいので、家事に無理をさせるのは良くないですが、親の生活にあまり手を貸しすぎるのも良いことばかりではないのでしょうね。親と離れて暮らしていると不安な点も多々ありますが、親が自立して自分たちの日常生活が送れているか、たまに手を出しつつも遠くから見守るくらいのほうが、結果的に元気に過ごせるのかもしれません。

高齢者 掃除


プロフィール

氏 名  佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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