認知症と成年後見人【親の生活】

連載コラム

高齢者の認知症は年々増えています。
認知症になると、もの忘れがひどくなるイメージが強いですが、社会的には判断力が低下したととらえられてしまいます。
そのため、日常の様々な場面での問題が出てきてしまいます。

親の認知症

資産管理の問題点

認知症で判断力が低下すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、自分の資産管理もできなくなってしまいます。
・銀行口座から多額の預金を引き出す
・通帳やキャッシュカードが見つからない
などで、銀行の窓口へ行き、判断力が低下していると思われてしまうと、銀行側で口座を凍結してしまうこともあります。
※親子で銀行の窓口に行き、子が忘れっぽい母に対して「お母さんったらボケちゃって!」と言っただけで凍結されたケースもありますので、注意が必要です。

不動産に関しても、認知症になると契約関係ができなくなるので大変です。
・大規模修繕や建て替えをしたいと考えても、所有者である親が認知症では契約ができません。
・高齢者の方が賃貸アパートを借りたいと思っても、ご本人が認知症では賃貸契約が結べません。
・賃貸物件を貸している場合にも、入退去の契約ができません。

親の認知症

生命保険の問題点

生命保険でも認知症での問題点が多くあります。

契約者が認知症の場合
・住所変更や受取人変更など、契約者の同意が必要な変更ができません。
・契約内容の確認ができません。(家族登録制度への登録で可能になる保険会社もあります)

受取人が認知症の場合
・保険金の請求ができません。(請求代理人を指定することで可能になる保険会社もあります)
※死亡保険金に関しては特別なルールを定めている保険会社もあるので確認が必要です。

契約

相続の問題点

認知症の方が相続人になるケースも多いです。
認知症の方は、遺産分割協議をすることができません。
相続に必要ないろいろな手続きが困難になってしまいます。

成年後見人(法定後見制度)

認知症で判断力が低下してしまった場合は、上記の問題が出てきてしまうため、成年後見人をつけて、各手続きをするようになります。

<後見開始申し立てから登記までの流れ>

1・家庭裁判所に後見開始の申し立て(本人の住所地を管轄する家庭裁判所)
2.審判手続きが行われる
3・家庭裁判所の判断が下される(審判)
4.審判の結果が本人と成年後見人に選任された者に伝えられる
5.審判が確定する
6.家庭裁判所から法務局に審判の内容が通知される
7.法務局の登記ファイルに成年後見人・成年被後見人の住所や氏名が記載される

後見開始申し立てから登記まで数か月かかることもあり、審判によって希望した人が成年後見人に選任されない場合もあります。その場合、裁判所で成年後見人が選任されます。

相続の場合は、注意が必要です。
相続では期限が定まっていることが多いので、相続人となったことがわかってから後見人の申し立てをし、実際に成年後見人となるまでに時間を要するため、即行動する必要があります。成年後見人の申し立て方法を確認しておくことや専門家を調べておくことも大切です。

相続以前に成年後見人がいた場合、本人と後見人が共同相続人になることも多く、利益相反(現実的な争いはなくても、形式的にみれば利益が対立すること)と判断されてしまうことがあります。
親の成年後見人を子が、兄の成年後見人を弟がするケースなどは、共同相続人になりやすいです。
もし、共同相続人になってしまった場合は、ご本人に特別代理人を立てる必要があります。特別代理人も家庭裁判所で申し立てての選任続きになるので時間を要します。

成年後見人

事前にできる対策

認知症と診断されてしまうと、いろいろな管理や手続きができなくなってしまうので、判断力があるうちに対策をしておく必要があります。

<任意後見制度>

判断力があるうちに、高齢者の方ご自身で後見人になってもらいたい人(任意後見人)を決め、任意後見契約をしておくことができます。公正証書で任意後見契約書を作成します。
専門家や親族でない方でも任意後見契約が可能です。
※財産管理だけでなく、介護保険の申請や介護施設の入退所手続き、生活全般の支援(身上監護)もできます。

<家族信託(民事信託)>

財産管理の手法の1つで、不動産や預貯金などの資産を、目的を決めて家族に託し、その管理や処分を代わりにしてもらう仕組み(信託契約)
委託者・受託者・受益者で構成されます。
委託者・・・保有する資産を託す人
受託者・・・資産を託されて、信託の中でその資産を管理・運用・処分する人
受益者…信託資産から生まれる収益等の利益を受け取る人
※身上監護は行えません。

認知症

認知症に備えるには、事前の対策がとても重要です。
ひとり暮らしの高齢者は、認知症になったことに気づくのも遅れてしまいます。連絡をする機会を増やしたり、見守り制度を利用したり、生活や言動に変化がないかチェックするように心がけましょう。

認知症の予兆「5つのサイン」についてもご覧になってみてください。
今こそ考えよう認知症【親の心と体】
https://anshinnavi.jp/column/mind-and-body/m-002/


プロフィール

氏 名  渡辺 美智代
1966年 神奈川県横須賀市生まれ横須賀育ち
現在も横須賀在住のファイナンシャルプランナー
横須賀市とその周辺の地域を中心に個別相談・相談会・セミナー講師をしている。終活カウンセラーを取得してからは、葬儀会社と連携し、葬儀後の各種手続きのサポートも行う。
実績
横須賀市の弁護士・税理士・行政書士・社会保険労務士と「横須賀知恵袋」という団体を作り、月1回の無料相談会を開催
その他の事業
「起業ママ支援ユメノタネプロジェクト」
「ファイナンシャルプランナー資格活用塾FP+」
「介護・相続サポート窓口」 他


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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