親の不眠にできること【親と繋がる】

連載コラム

不眠を訴える親世代は増えている

皆様の親御さんは普段、よく眠れていらっしゃるでしょうか。

高齢化の影響でしょうか、親世代で睡眠障害(主に不眠)を訴える方が多くなっているようです。
特に冬の季節は日照時間が短くなることに起因する「冬季うつ病」を発症することがあり、その症状がさらに不眠を引き起こします。日照時間が短いことでセロトニンやメラトニンという、眠気を誘発するホルモンの分泌量が他の季節よりも減少してしまうのです。

親世代であれば、寒い戸外での活動を控えるでしょうから運動不足にもなりますし、今の時期は良質な睡眠がとりづらいかもしれませんね。

高齢者 不眠

良質な睡眠を妨げる心理的な要素とは

不眠の改善には生活習慣を整えることが必要です。その対応策は種々の記事に記載されていますのでここでは省きますが、カウンセリングの事例から、不眠に対する心理的な要因を挙げてみます。

人は誰でも変化に弱く、もしそれが自分にとって不快・不便な状態であっても、勝手知ったる環境にいるほうが安心です。
まして年齢を重ね、様々な機能が衰えてきている高齢者にしてみれば、この変化の多い社会に適応していくのは相当なストレスです。
特に配偶者や家族に先立たれ、今まで経験のない一人暮らしをすることになった親世代は上記のストレスに加え、自分の生活や身を自分だけで守らなくてはいけない緊張感という心理的負担が加わります。

近所で親しくしていた人が少なくなってきた
身体がきつくて家事もだんだんできなくなる
泥棒やオレオレ詐欺などの犯罪に巻き込まれるかもしれない
地震や近隣の火事など災害があったら逃げられるだろうか
病気になったら動けない
でも長生きしすぎたらお金が足りなくなるかもしれない
・・・・・

現実的に今できる対応策を講じたなら、あとは考えても仕方がないことばかりだと親世代も頭では理解しています。しかし、子供に心配や迷惑をかけまいと思えば思うほどよけい不安になり、その思いを一人でかかえこみ、孤独感にさいなまれて不眠につながっている方が多いように感じます。
今はまだコロナの影響もあり、気軽に他人と会う気にならないかもしれませんので、それがまた孤独感に拍車をかけているところもあるでしょう。

高齢者 不安

親世代の不眠に子供世代ができること

もしあなたの親御さんが不眠を訴えてきたとしたら、運動や食事、サプリなど生活習慣を整えることをすすめるのが最優先ですが、それに加えて精神的な面で「安心感」を与えてあげてほしいと思います。

まずはできるだけ気軽に連絡をとり、親の近況話を聞きましょう。
同じ話の繰り返しになってしまうかもしれませんが、その内容から親が今漠然と不安に感じていることがわかります。
病気になることに不安を持っていれば、まわりの人が病気になった話をするでしょうし、世の中の変化についていけないことが不安ならば、銀行のATMがうまく使えなかったなどの話をするでしょう。
孤独感を感じていたら、近所の人が引っ越したといった話をするかもしれません。
ひたすら話を聞いているだけでもいいのですが、もし何か具体的に対応できそうなことがあればサポートを申し出てあげてください。

カウンセリングをしていて感じることですが、人は話を遮られたり反論されることなく、思っていることをすべて吐き出すように話ができ、ちゃんと聞いてもらえると気持ちが整理されてすっきりするようです。また親世代であれば「話す」という行為自体に意外と体力を使うので、身体もいい具合に疲れ、夜は眠くなりやすくなるでしょう。

高齢者 不安

そして話をするたびに「大丈夫」「何かあったらすぐ行くからいつでも声をかけて」など、一人で思い悩まなくていいよというメッセージを伝えてあげてください。親世代にとってはそれがとても心強く、安心感ひいては安眠につながります。

未来がどうなっていくのか見通せない今、不安感や孤独感は思いのほか人の心を蝕み、不眠のように健康面にも影響を及ぼします。あたたかな思いやりの気持ちを伝えあうつながりを、家族はもちろん周りの人とも持ちたいですね。


プロフィール

氏 名  佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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