高齢者狙いの詐欺は複雑化している
巷で話題にのぼる高齢者をターゲットにした詐欺事件。以前は「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」のようにある程度手口のパターンが決まっているものが多く、予防策も浸透してきましたが、最近はアプローチ方法がどんどん複雑になっているようです。高齢者ではない私達でも引っかかる可能性があるので注意したいですね。
中には勝手に品物を送り付けてくることもあるそうです。
先日お会いした方のお話ですが、実家に行ったときふとテーブルを見たら両親が買いそうもない派手な衣類が入った箱が置いてあり、不思議に思って両親に聞いてみると、「着払いで荷物が来たから代金を払って受け取った」とのことでした。
対応した母親は、父親がなにか取り寄せたのかと思ったそうですが父親は普段から通信販売は利用しないし、もちろんこの商品も注文していません。
包装紙がまだゴミ箱にあったので、貼付されている伝票記載の送付元(通信販売会社らしき名前)の連絡先に電話をしてみたものの何度かけてもつながらず、その方は不審に思ったそうです。
親は自分の失敗を公にすることを避けがち
とりあえず、なぜこの商品が連絡先を告げてもいない両親宅に届いたのかを解明したいと思い、消費生活センターに電話してみました。
センター職員の方にひととおり説明をすると「では実際にやりとりをした親御さんと変わってください」と言われ、電話を替わろうとしたのですが、なんと母親が「出たくない」と頑なに拒否したため、結局真相解明には至りませんでした。
母親は「大きな金額ではないからそんなに大騒ぎすることでもないし、これからは着払いの商品が来たら断るからもうこの話はいい」と言って、今回の件はなかったことにしたいようでした。その方は「金額の問題ではない、ちゃんと話をしてできることなら返金してもらおう」と説得しようとしましたがダメでした。
以前、親が振り込め詐欺にあいそうになった方からお話を聞いたことがありますが、その方の親御さんも経緯について詳細を語ろうとしないためどこにも相談できず、うやむやになってしまいました。
本来なら然るべき場に相談したほうがいいのでしょうけれど、高齢になると「自分がミスをすること」を恐れる気持ちや「失敗」を認めたくないというプライドが強くなり、マイナスの出来事が起こっても他人に相談したがらない方が多いと感じます。自分の失敗がわかると周囲の家族に怒られるのではと不安になる気持ちもあるでしょう。
「自分の失敗で迷惑をかけたくない」という思いが強いほどその傾向があるかもしれませんね。
「経験が周囲の役にたつ」ことを伝えてみる
もちろん、それ以上の被害が出ないのであればうやむやにしてもいいかもしれませんが、今後のことを考えると消費生活センターなり、警察なりに連絡して防止策の対応はしておきたいものです。
認知がある程度しっかりしているなら、「今回の経験を伝えることで他の人が参考にできるし、被害を減らすお手伝いができるから」などと話して、「話すことが他人の役に立つ」という方向に気持ちを持っていき、親の自己肯定感を損なわずに経緯を話してもらえたらいいですね。
私達が思う以上に、親世代は自分の失敗について認めないし語りたがらないものなのかもしれません。できる限り責め口調にならないよう気を付けて、一緒に協力して身を守ろうという姿勢を示したほうが親も安心すると思います。
プロフィール
■氏 名 佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格
「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
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