スーパーで出会った方との会話
年末年始が近くなると、大掃除や新年を迎える準備などでなにかと気ぜわしくなってきますよね。
そんな慌ただしい雰囲気のなか、買い物客で混雑するスーパーでとても素敵な高齢のご婦人に出会いました。
私はセルフレジを利用していたのですがふと隣を見ると、そのご婦人がうまくバーコードを読ませることができず困っている様子だったので、少し手助けしました。するとその方がマスク越しににっこりして「ありがとうございます。助かりました」とおっしゃいました。そんなに丁寧にお礼を言われることがなかったので思わず「どういたしまして。そんなに大したことはしていませんけど」と答えると「いえいえ、年を取るとね、人にやってもらうことばかり増えてきて人にやってあげられることが少なくなるから、せめてきちんとお礼を言うようにしているのです」と、これまたあたたかな笑顔でおっしゃいました。
その笑顔と「ありがとう」の言葉だけでも、私の気持ちがほっこりして良い気分になり、この方は充分「人にやってあげている」ことがあると感じました。
「自分は必要とされていない」という焦りや哀しみ
高齢になると「以前はできたのに今はできないこと」がどうしても増えてくるので、「自分が他人の、世の中の役に立っている」と感じられる場面は確かに少なくなります。
その思いが高じると「自分は必要とされていない存在だ」と孤独感を抱えたり、自分を認めてほしくていわゆる「キレる老人」となり周囲の人に怒りや不満をぶつけたりするようになります。
現役時代に活躍していた人ほど自分に対する期待が大きいせいか、そのような焦りや哀しみを持つ方が多いのですが、プライドがあるので自身の感情と向き合おうとはしません。
結果、周囲と軋轢を生じ、さらに孤立していく悪循環にはまってしまいます。
感謝を口に出せば双方を幸せにする
このように気分が落ち込んでしまった方のカウンセリングでは、小さなことでいいので今日嬉しかったことや感謝したことを挙げていただき、不満や不安を解消していくアプローチを行うことがあります。嬉しいこと、感謝できることを見つけると、「色々な形で自分は支えられている、大切にされている」と認識しやすくなり、気持ちの安定につながるからです。
さらに感謝の気持ちを言葉にして伝えることで、言ったほうも言われたほうも良い気分になれます。
私も前述したご婦人から「ありがとう」と言われて、私自身もなんらか人のお役に立てたという自己効力感を感じることができました。そして自分も、周囲の方にこの良い気分を伝えていこうと思いました。
親に「ありがとう」と伝えてみる
年末年始は親と連絡をとる機会が多くなると思います。その中で「いつも美味しいお料理を作ってくれる」「庭掃除が行き届いている」などちょっとしたことでも「ありがとう」と伝えてみてください。「今年も一年、元気でいてくれてありがとう」と、毎日無事に過ごしているだけでもすごいことだと伝えてあげると、親も「まだ何か自分にできることがある」と思えて生きる張り合いが出るかもしれません。
「もう生きていてもやることがないし、ただお迎えを待つだけだ」なんて親が言っていたら、「子供にとっては生きているだけでありがとうなんだよ」と言ってあげてほしいです。
皆様がそれぞれ幸せであたたかい年末年始を過ごせますように願っております。
プロフィール
■氏 名 佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格
「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。
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