親の怒りとどうつきあうか【親と繋がる】

連載コラム

高齢になると怒りっぽくなる?

スーパーや駅で職員さんに延々と不満や文句を言っている高齢の方を見かけることはありませんか。私も先日バスに乗った時、娘さんと思しき隣の女性に対して、某施設職員の対応が悪いと怒っているご婦人に遭遇しました。娘さんはなんとか気持ちを鎮めようと意見を言っているのですが納得する気配もなく、結局私が降りるまでずっとお怒りモードでした。

高齢者が全員そうだとは言えませんが、加齢に伴う感情抑制機能の低下や生活不安に伴うイライラなどから、年を重ねると怒りの感情が湧きやすくなる傾向はあると思います。
皆様のなかにも、親からいきなり怒りをぶつけられて反応に困ったというご経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
親子はお互い遠慮がないので、他人には言わないようなストレートな物言いをしてしまうことがあります。そのため最初はほんの些細な言い合いだったのに、いつの間にか喧嘩に発展する場合も多いでしょう。

親が周囲の人や出来事に対しての怒りをぶつけてきたとき、子供はどのように対応するのがいいでしょうか。

怒りやすい高齢者

怒りの裏に隠れている本当の気持ち

私はカウンセリングの場で、高齢の方の愚痴や不満、お悩みを聴く機会が多いです。
共通して感じるのは、一つの不満がだんだん色々なものや人、出来事に紐づいていき、
大きな話になっていくことです。例えば、最初はご近所トラブルについてのご相談だったのが、感情がヒートアップするにつれ町内会や行政職員の在り方、ひいては日本の福祉対策にまで怒りが広がっていく感じです。

問題のある現状にどう対応するかより、自身の思いの正当性を主張したいほうに話の軸が変わってしまうのです。そうすると「〇〇してみてはいかがですか」といった具体策を伝えても全然相手に響きません。また同じ話の繰り返しに戻って堂々巡りになるのです。

よく言われることですが、怒りの裏にはだいたい別の思いや本音が潜んでいます。そのことに本人の自覚がないと延々と怒りを引きずり、いかに自分が正しいかを周りにわかってもらおうとします。
ですので、親と話していて何を言っても怒りの矛先がおさまらないときは、その裏に隠れている思いが別のところにあると思ったほうがいいでしょう。

高齢者の怒りの裏にあるもの

本音を早く汲み取ることが怒りを鎮めるコツ

怒りの裏にある思いが何なのか、早く気づくポイントがあります。

高齢の方の怒りには「自分は〇〇したかったのにできなかった」が本音にあると私は感じています。そもそもは「食べたかったのに食べられなかった」などといったシンプルな欲求なのですが、それをストレートに伝えるのは気恥ずかしかったり、自分では気づいていなかったりすると、周囲の対応ミスやシステムを責めて怒りを正当化しているように思います。

ひととおり親の話を聴いて、「本当はゆっくり歩きたかったのに急かされたんだね」「挨拶に気づいてほしかったのに無視されちゃったんだね」と、悔しさや悲しい気持ちを汲み取ったうえで「じゃあ次はこうしてみよう」と提案してみてください。
自分からネガティブな本音を認めるのはプライドが許さなくても、他人が理解してくれて言葉にすると受け入れやすくなるものです。

毎日いい気分で楽しく過ごしたいのはお互い様です。親の怒りや不満、愚痴とは早くサヨナラしたいですね。

高齢者の怒りの裏にあるものに気付く


プロフィール

氏 名  佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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