親の「依存」から距離を置く【親と繋がる】

連載コラム

親の電話攻勢に辟易してしまう自分に罪悪感

気のおけない相手とのおしゃべりはストレス発散になり、気分転換にも効果的です。
しかし、いくら気安い相手といってもそれが「毎日」となると逆にストレスになってしまいそうですよね。

親子関係のカウンセリングで伺う事例で、親との会話が精神的に負担になるという話はよくあります。
例えば、親が毎日電話をかけてきて、近所の噂話やテレビ番組のことなどを延々と話してくる。だいたい批判的な内容だったり愚痴めいた話になるので、聞いていても気が滅入る。しかも話を遮ろうとしてもよく聞こえていないのか話をやめないので余計イライラが募る…といった内容です。
そして、聞いているほうもやりたいことがあるのでそう毎日つきあっていられない、ネガティブな話は聞くのも疲れる。しかし、それを親に伝えると「冷たい」「親のことをぞんざいに扱っている」などと言われる。それとこれは別と頭では思うけれど、親からそう言われると自責の念が沸き起こり、自分の心が狭いのかなと感じてしまうようです。
中には、携帯の着信音が鳴るたびに「また親からでは…」と思いすごくイヤな気分になってしまうという方もいらっしゃいました。

親からの電話に辟易

親は支配的な依存関係に気づかない・・・

子供としては「親が時間を持て余していて寂しいのだろう、話し相手が欲しいのだろう」と想像できるだけに無下にはしづらいものです。「親の言うことを聞くもの、親は大事にするもの」という価値観で育った方は特にそうでしょう。

その考えは間違っていませんが度が過ぎると、親は子供に罪悪感を持たせて親の言うことを聞かせるようコントロールしてきます。それは支配的な依存で、良好な親子関係ではありませんが、親のほうはそれに気づきません。「高齢で離れて暮らしている自分の話し相手をするべき」と決めつけていたり、寂しい自分に関心を向けてほしかったりするのかもしれません。

しかし、子供だからといって親の要求をすべて引き受けなくてもいいですし、それが親不孝なことでもありません。24時間子供が傍にいることはできないのだから、親自身も自分の寂しさや退屈さを解消する生活習慣を身につけたほうが、認知機能も衰えずより充実した毎日を送ることができるのです。

親の支配的な依存

親の依存から距離を置くために

少しずつ、親の精神的な依存から距離を置くように対応していきましょう。
毎日電話が来るなら、3回に1回は居留守を使っていいし、出ても「これから食事の支度あるから10分だけね」などと話の冒頭に時間を区切ってもいいと思います。そして時間が来たら強制的に「話の残りは手先の運動だと思ってメールして」などと伝えて切り、電話以外のコミュニケーションツールに慣れる習慣をつけてもらいましょう。
もし「冷たい」などと批判めいたことを言われたら「楽しい話なら聞くから、楽しいネタが集まったら電話して」などと答えて、話すこと自体は拒否していないことを伝えてください。

年齢を重ねるにつれてなにかと不安になるせいか、罪悪感を利用して子供に頼りすぎる親が増える印象がありますが、大人同士の関係になった今はそれを必要以上に受け入れなくていいです。親であっても「できないことはできない」「いやなものはいや」と伝えたほうが、無理なく良好な関係でいられると思います。


プロフィール

氏 名  佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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