親とのやりとりで感じる違和感
先日友人と会った際、親を認知症の検査に連れて行きたいのだけれど親が断固として拒否するので困ったという話を聞きました。
友人いわく、買い物や料理などの日常生活は一人でこなせているのだけどとにかく予定を間違える、こちらの話を理解しているようで実は理解していない、そのせいか同じことを聞き返すことが増えてきたのだそうです。
今はまだ大丈夫であっても何か問題が起こってからでは遅いから、一度病院で診てもらおうと言っても「そんな必要はない。頭はしっかりしている」と聞き入れてもらえないようです。
病院の待合室は高齢者の集会場になっているなどとよく言われますが、なるべく病院にはかかりたくないという方も多いようです。しかも熱や痛みなどの身体的症状がなければ、よけい行く気にならないのも仕方ないと思います。とはいえ、親とのやりとりで以前とは違う対応が目立ってきたら放置しておくわけにはいきませんよね。
認知症とは違う原因があった!
友人の話の続きですが、その後なんとなく親の元気がなくなってきたように感じていたそうです。好きなテレビ番組も見なくなったしお友達と会うのも面倒になってきたと言って出かける頻度も減ってきたため、友人は「このまま放っておくとますます脳に刺激が与えられなくなって認知症が進むのでは」と本気で心配しだし、ある日近くのショッピングモールに親を連れだしました。
途中で休もうと喫茶店に入り、オーダーした飲み物を待つ間親に話しかけた時、様子が以前と違うことに気がつきました。少し騒がしいお店だったのですが、親が自分の話をほとんど聞きとれていなかったのです。
あわてて聴力の検査をしてみたら補聴器が必要なレベルではなかったものの親いわく「相手が早口だったり、高めの声で話されると聞きとりづらいときがあると日常でも感じていた」そうです。
予定を忘れたり同じ話をするのは認知症のせいではなく、聴力の低下が原因だったようです。
文字にすること、確認することでお互い安心
年齢を重ねると、ところどころ聞き取れない音が出てくることがあると私も聞いたことがあります。とはいえ日常生活には支障がないレベルのため、何度も聞き返すのは相手に申し訳ないという遠慮もあって聞き取れなかったところは「こう言ったのだろう」と自分の想像で埋めてしまうので、その場では周りの人も気づかないことが多いかもしれません。
また、子供と離れて暮らしていると、自分が認知症になったら迷惑がかかるという思いがあるでしょうから、子供に認知症を疑われると必要以上に不安になってしまい、かえって脳力の低下を招きかねません。
親が最近話を理解していない、約束を忘れる、黙り込んで話さないといったことがあったらまず聴力を確認してみてもいいかもしれません。それと並行して約束事はメールやラインで文字にしたり、カレンダーに書き込んで視覚化しておくように習慣づけるのもいいですね。
このように少しずつ忍び寄る「身体的な老い」には早めに対応していくことが、親子ともに安心して過ごすコツなのかなと思いました。
プロフィール
■氏 名 佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格
「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。
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