「老害」と片付けられてしまう高齢者の怒り
「暴走老人」という書籍がかつて話題になりました。感情のコントロールが効かず、怒りにまかせて他人に怒鳴ったりクレームをつけたりする高齢者が増えているという話は日常場面でよく耳にします。
しかも怒りを鎮めるため状況説明しようとしても聞く耳を持ってくれないし理解しようともしないので、対応に時間がかかることが多いようです。
すぐ怒りにつながる原因として、高齢になると感情や意欲を司る前頭葉が老化してくること、孤独感に苛まれたり承認欲求が満たされにくくなることなどが挙げられます。人間ですから老化は止めようがありませんが、自分の親にはできるだけおだやかに周囲の人と接してほしいと願いますよね。
ある日銀行での出来事
しかし先日、高齢者がキレてしまうのは上記のような理由ばかりではないのかもと感じる出来事に自ら遭遇しました。
久々に某銀行店舗に税金の支払いに行きましたら、窓口案内の方が「公共料金や税金は窓口だけではなく、ATMでも納付できますよ」と教えてくださり、わざわざ納付専用のATMの操作まですべて横で一緒に対応してくださいました。
私はそんなATMがあるとは知らず、世の中便利になったものだーと感心しながら支払いを終え、案内の方にお礼を言って機械の前から離れました。
その時ふと後ろを見ると、すでに3~4人の方が並んで機械が空くのを待っていました。しかも新たに来店した方数名が案内係不在のため、受付の前でこちらを見て待っているのに気づきました。
その時私は周囲からの「こっちも急いでいるのに、アナログ世代は人の手を煩わせるから困るんだよね…」というイライラとした、無言に責められているような空気を感じ、恐縮してしまいました。
自分が高齢者だったらどう感じるのか
とはいえ私はスーパーのセルフレジや病院の手続きなど、まだなんとか最近のデジタル化に対応できていることもあるので、「ご迷惑おかけしてすみません」と思ったのはこの銀行の一件だけですが、もしかすると高齢の方は銀行でもスーパーでも病院でも、あらゆるところでデジタル化についていけず、周りから「手のかかる人」と思われているだろうという申し訳なさや不安を感じているかもしれないと思いました。
私自身、今でも銀行での周囲の冷ややかな視線を思い出すと身がすくむ気がします。だとしたら、高齢の方は毎日の外出先で様々なストレスを感じているでしょう。
その「現代社会に対応できない自分」を日々突きつけられ、周囲の無理解な態度に怯える反動で怒りが生まれ、キレやすくなる一因となっているのかもしれません。
習うより慣れろ!でどんどん使って見ること
人口が減少している日本では、今後社会のあらゆる場面でますます機械化が進むでしょう。自分も含めて、こればかりは慣れるしかありませんので、親世代には折に触れ外出先で機械の操作方法を教え、実際に利用、体験させてみることが今以上に必要だなと感じました。
手始めとして高齢者向けのネットサービスを利用してみるのもおすすめです。
自宅でタブレットを利用してタッチパネル操作に慣れ、家族とコミュニケーションを取ったり、インターネットが提供する音楽や趣味教室などのサービスを楽しんでもらえれば、デジタルの世界に対する気後れ、抵抗感を少なくしていくことができるでしょう。
また親世代は「人に聞いて教えてもらう」ほうが安心するので、操作方法がわからなくなったらすぐにオペレーターに聞くことができる環境が整っているサービスがトライしやすいと思います。主なものとして
TQタブレット:https://tqconnect.co.jp/service/
Carebee:https://services.carebee.io
があります。
敬老の日のプレゼントなどに検討してみてもいいかもしれませんね。
プロフィール
■氏 名 佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格
「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。
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