親世代と断捨離【親と繋がる】

連載コラム

親世代は自分自身の断捨離と感じてしまう?

普段のカウンセリングでは30~50代の子供世代のお話を伺うことがほとんどですが、先日珍しく80代の方とお話しする機会がありました。
話題が終活に及んだ時、その方の表情が突然曇り「もう自分はいないほうがいいからいつ死んでもいいと思う」とおっしゃいました。
驚いて話を聞いてみると、最近子供がいわゆる「断捨離」をすすめてきて、実際に子供が家に来て不用品の片付けをすることもある。それはありがたいことだし自分自身でもやらなくてはいけないと思っているけれど、身体もそうテキパキと動かないし、つい思い出に浸っていると作業が遅いと子供にせかされる。どんどん自分がこの世にいた形跡を消されていく気がして寂しい。とりわけ一生懸命働いて得た家や土地は子供世代に受け継いでいってほしいと思っていたが、どうも子供にはその気がないようだ。そう考えると早く自分が亡くなって、すべてをお金に換えて子供に残したほうが喜ばれる気がする。ということでした。
「自分を断捨離したほうがいいのかも」と冗談交じりにおっしゃって、切ない気持ちになってしまいました。

「不要なものを捨ててスペースを作れば新しくいいモノが入ってくる」などと言われ、私たちの世代にはポジティブに受け止められている断捨離ですが、親世代には違う受け止め方をされているかもしれませんね。

高齢者 断捨離

終活を兼ねた断捨離は親のペースで

最近は終活に関するサービスや情報がたくさんありますし、さらに少子化に伴い全国で空き家問題もクローズアップされていますので、子供世代としては相続問題を考えると実家の整理に早めに着手しておきたいという気持ちも理解できます。
しかも戦中戦後のモノがない時代に育ち、高度経済成長期には国策どおりに頑張って働いてきた親世代は「捨てる」「手放す」ことに抵抗感がある方が多いでしょうから、しまいこんで忘れているものもたくさんあると思われます。

離れて暮らしていると、どんなものが保管されているのか把握しづらいので、実家にいる間にあれこれ確認したり整理したくなることもありますね。しかし親が今そこまで断捨離の必要性を感じていなかったとしたら、人によっては「早くいなくなれということか」と悲しさや怒りを感じる方もいらっしゃるかもしれません。

終活がらみの断捨離は、いざとなったら外部業者さんの手を借りる心づもりをしつつ、親の気持ちに寄り添いながらその必要性を説明して、ゆっくりと親のペースに合わせて行うほうがお互いストレスを感じずスムーズに行えそうです。

高齢者 断捨離

親の記憶や思い出を尊重するのも親孝行の一つ

誰でも今まで生きてきた「歴史」があります。実家の片づけをしながら一緒に思い出に浸って、親の人生を振り返る時間を持ってもいいかなと思います。他人から見たらガラクタでも本人には特別な思い入れがあるものであれば、その話を聞いてあげるのも人生後半にできる親孝行の一つになるでしょう。

また親が「もういらないのだけれど、もったいなくて捨てられない」と感じているようなら「自分が利用したいから欲しい」「バザーに出したい」など、他の人に役立てるという名目で引き取り、こっそり断捨離してもよいと思います。捨てることは抵抗があっても、だれかが使ってくれると思えばすんなり手放す気持ちになるかもしれません。

高齢者 断捨離

通帳や年金手帳、不動産の権利証など重要書類のしまい場所がわかっていれば、あとはのんびりゆっくり、実家の(おそらく大量に保管されているモノたちの)断捨離に取り組んでみてください。


プロフィール

氏 名  佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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