両親が育った時代背景を理解する

連載コラム

今の時代は平和に暮らすことができています。しかし、高齢のご両親の子供時代は太平洋戦争の影響を受け、決して平和な時代ではありませんでした。1941年から始まり、終了したのが1945年、今から75年位も前のことですが、高齢のご両親世代は戦争の大きな影響を受けられました。

これに比べ、豊かな時代に不自由なく育った「子世代」とは社会環境が大きく違います。
親世代を理解するには、親がどんな環境で育ったかを知ることも大切になります。

また、ご高齢になると、あと何年生きられるか「余命」が気になりますが、余命は平均寿命から予測できます。平均寿命は0歳が何歳まで生きられるか、0歳の平均余命を予測したもので、最新のデータでは男性が81.4歳、女性が87.5歳と年々高くなっています。

では、平均寿命を過ぎると、あと、どの位生きられるかが気になります。高齢者の余命は厚労省が発表している年齢別の平均寿命から知ることができます。ちなみに「80歳の男性」の寿命は89.4歳で余命は9.4歳となります。同様に女性の寿命は92.3歳で、余命は約12年となります。余命が年々長くなり、元気な高齢者は長生きできる時代になりました。
皆さんのご両親の平均余命、知りたいですね。5歳単位で年齢別平均寿命表(別表)を用意しましたので、ご活用ください。

高齢者の平均寿命

そこで第2回は、親世代がいつまでも長生きいただけるよう、ご高齢の親世代が育った社会環境の分析と、長生きしていただく提案をします。

1. 90歳以上の親世代

若いころに戦争を体験された親世代です。戦時中は倹約や質素な生活を余儀なくされました。高齢で少し頑固な性格もあるご両親です。体力的にも衰え、6割以上の方が要介護生活を送っておられるようです。

90歳の方の平均寿命は男性が94.6歳、女性が95.2歳で余命が約5年あります。女性が長寿で、元気な女性が多くおられます。ご高齢で体調が心配されますので、十分な配慮をしましょう。要介護の方は介護保険を活用され、しっかりと介護して欲しいものです。介護保険でカバーできない場合は、介護保険外サービスを活用する方法もあります。親世代には健康に気を使い、仲間を大切にし、少しでも長生きして欲しいものです。特に女性の方は「オレオレ詐欺」にも注意が必要です。

90歳以上の親世代

2.76歳から80代の親世代

この世代は、幼いころに戦争を体験され、終戦を迎えられました。戦争時代は質素な生活を余儀なくされました。まだ、元気な方が多く、仕事や社会貢献、趣味やスポーツなどで活躍されている高齢者も多い一方で、在宅気味の高齢者もおられます。いつまでも活動を続け健康を維持して欲しいものです。運動神経が衰え始めますので、運転は極力控え、できれば免許返納されることをお勧めします。

 また、77歳の長寿の祝い「喜寿」は健康で参加できる最後の機会になります。ぜひ、参加され幼馴染との交友を温めるよう勧めてください。一方、日頃から外出する機会を増やし、たくさんの仲間をつくり、健康維持に努めて欲しいものです。さらに、この世代はスマホの活用する高齢者も増えつつありますので、スマホも活用し、元気で健康維持されるよう願っています。

76歳から80代の親世代

3.70歳から75歳位まで団塊世代以下の親世代

戦後に生まれた最初の世代、1947年から1949年生まれまでの3年間を「団塊の世代」と故堺屋太一氏が命名されたように、この世代の方は戦前からの古い価値観から脱却し、新しい価値観を持ち、上の世代とは、全く違う新しい生き方をしています。団塊世代は戦後生まれで消費を美徳とし、人数が多く競争意識も強く、戦後の高度成長を支えました。
趣味、スポーツ、仕事、社会貢献など多方面にわたり、積極的に活動されている方も多くいます。一方で、定年後、社会に溶け込めず、家に閉じこもり、仲間も少ない親には外出を勧め、社会活動に参加されることをお勧めください。

70歳から75歳位まで団塊世代以下の親世代

団塊世代の子世代が、「団塊ジュニア」と呼ばれ人たちです。団塊ジュニアは自分らしさ思考が高く、自分本位な性格で、自分の意志を貫く傾向があります。よく似た性格がある親世代とは対立せず、仲良く、バラエティに富んだ生き方をエンジョイして欲しいものです。

高齢の親と仲良く


プロフィール富田眞司

氏 名  富田 眞司
名古屋大学卒業後、広告会社やメーカーなどで企画業務を担当、定年後執筆した「A4・1枚究極の企画書」などの企画書本は20冊。韓国語、タイ語などにも翻訳される。
2012年、企画とシニア目線を生かし、日本元気シニア総研設立 代表に就任、現在、最高顧問でシムライフ最高顧問も兼ねる。『シニアビッグビジネスの可能性』など、需要創造テーマの講演や、日経MJ、夕刊フジで連載などの執筆、テレビ出演、全国での講演など多数。


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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