親の様子を伝え続けるきょうだいの思い
2026年になってからもうすぐ1か月。皆様もお正月気分からすっかり日常のペースに戻っていらっしゃると思います。
さて、この時期よくお話を伺うことの一つに「久々に帰省したら親が思いのほか老いが目立ってきていて、今後の親の生活や介護等色々考えさせられた」というものがあります。
親と離れて暮らしていると何かあったときにすぐ対応できず困りますが、近くにきょうだいや家族が住んでいる場合はいざというときにも安心ですよね。

ただし、それぞれの立場で思うところが共有できていないと、思わぬ軋轢やすれ違いを招きかねません。先日ご相談のあった2つの事例をお話したいと思います。
Aさんは義実家の近くに住み、お姑さんとお舅さんの日常生活のお手伝いをしています。
全く別のご家庭ですがBさんは実家から離れて住んでおり、別のきょうだいが実家に住む親の生活をサポートしています。
どちらのご両親も自立して暮らしているとはいえ、高齢のためなにかと手助けが必要です。実際にお世話をしている家族(AさんとBさんのきょうだい)のほうはきょうだい間で情報共有したほうがいいと考えているようで、Aさんは遠くに住んでいる義兄弟に義両親の様子を伝えており、一方Bさんもきょうだいからそういった連絡を受けています。

立場が逆だと思いがすれ違う
Aさんは「こちらが親の様子を伝えているのになんの返信もない。遠くに住んでいるから手伝えなくても仕方ないことはわかっているが、自分の親なのに無関心なのが腹立たしい」と不満を話します。
そしてBさんは「きょうだいから逐一親の様子の連絡が来て気にはなるが、実家から遠いところに住んでいるのでそうそう帰省はできないし、連絡がきてもなんと返事していいのかわからない」と困惑気味に話すのです。
たまたま正反対の立場の方からのご相談で、双方のお気持ちはともに理解できるのですが、このままだとおそらくきょうだい間の溝が深まってしまうのではないかと思います。
今後ますます協力して親の老化に対応していかなくてはいけないのに、関係が悪化した状態だとそれも難しくなってしまいます。

労り、感謝の思いを伝え続けることが大切
Bさんは「もしかして全然手伝いに来ないことを怒っているのかもしれないと思うと、申し訳ない気持ちもありつつなおさら返信できない」と言っていました。
一方でAさんは「遠くに住んでいるきょうだいに手伝ってほしいわけではない。ただ、年老いた親のそばにいる大変さをわかってほしい。それは難しいのかな」とつぶやいていました。
上記のお二人の話を聞いていて、離れて住んでいるほうはたとえ繰り返しになったとしても「いつもありがとう」「大変だよね、無理しないでね」「何かできることがあったら言ってください」などと伝え続けてほしいなと感じました。
たとえささいな手助けであっても高齢の親の生活を支える人は気も遣うし時間もとられて、ストレスがたまるものです。
特に親の老化が進むにつれ、補聴器や杖の購入、デイサービス利用など金銭が発生する事案も増えてきますし、その点においても親の健康状態について子供全員で共有しておくことで連帯感が生まれ、意見のすれ違いが少なくなると思います。
離れて住んでいる子供家族は頭では理解しているでしょうけれど、近くに住んでお世話をするのは想像以上に大変であると認識し、常に労いの気持ちを持つほうがきょうだい間の関係を良好に保て、後々相続問題などでもめることがなくなるのではないでしょうか。
日常生活はささいなことの積み重ねですから、一つはたいした労力でなくても、それが重なってくると負担がかかってきます。
近くで親をみてくれている家族には常に感謝の思いを持つだけではなく実際に言葉で伝えて、さらにできることがあれば協力するという姿勢が必要だなと感じました。

プロフィール
■氏 名 佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格
一般社団法人介護予防心理美容協会 常任理事
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