熟年離婚は増えている
厚生労働省の統計によると、2022年の離婚件数は17万9099件と、ピークの2002年(約28万件)より4割近く減っているのに、離婚に占める熟年夫婦の割合は年々増えており2022年は23.5%と過去最大になっているそうです。
実際、私がお受けするカウンセリングでも、親世代のご年齢の方から「パートナーと別居か離婚したい」というご相談があります。しかも以前はこういったご相談はほとんどが女性でしたが、最近は男性からのお話も多くなってきています。
平均寿命が長くなり第二の人生期間が相応に伸びていること、女性が経済力をつけてきて自活しやすくなっていることなど様々な要因があると思いますが、若い世代と違うのは、熟年で離婚を検討する状況になった場合、関係修復するケースはほとんどないことです。
子供側に立てば複雑な思いがあるかもしれませんが、長い期間を経てたどり着いた結論だけに、少々の話し合いくらいでは翻すことができないほど固い思いとなっているのでしょうね。
離婚するなら周到な準備が必要
もう一点熟年離婚に共通しているのは、子供も薄々その気配を感じていて、離婚や別居に反対するケースが少ないことです。
ただ、いざ離婚となると現実的にそれぞれの親が一人で暮らしていけるかという問題が生じます。子供自身にも自分の家族がいるでしょうし生活も守らなくてはなりません。特に親と離れて暮らしていると金銭面も含め、日常生活でサポートできることは限られるでしょう。
もし親がすでに離婚を望む状態になっているなら、まずはなるべく子供に頼らず一人で生活できるようにするための準備が必要です。
行政のサポートや家事のアウトソーシング、双方の実家に住むことができるかなど実務的な面の検討をしながら「そこまでしても本当に離婚したいか」という精神面の覚悟を親自身に決めてもらったほうが、後々「こんなはずではなかった」と後悔する事態にならないと思います。
穏やかに「結婚生活の終焉」を迎えるサポートをする
とはいえ、熟年でなくても離婚は心身ともに大変な労力を伴いますから、避けられるなら避けるに越したことはないでしょう。そのために、親の関係が悪化していると感じた時点で放置せず、早めにお互いの思いを子供が聞きだして双方に伝え、妥協できる点を一緒に考えることをおすすめします。とりあえず別居して離れてみる、働いていないならパートやボランティアをやってみて外の世界に触れる、家事を双方で分担するなど、関係改善まではできなくても現状を変化させることで、離婚まで至らずにすむケースもあるかもしれません。
他人を変えることは難しいので、結婚生活が長くなればなるほど色々な問題が出てくるのは仕方ない部分もあります。親が円満にパートナーシップの終焉を迎えるためのサポートをするのもある意味、親孝行になる時代なのかなと思います。
プロフィール
■氏 名 佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格
「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。
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