親が「推し活」にハマった!
接することで自分が元気になれて、他人に薦めたくなるほど好きな対象を最近は「推し」と表現しますよね。そういえば昨年の芥川賞は宇佐美りんさんの「推し、燃ゆ」という作品でした。アイドルや有名人をはじめとしてスポーツやアニメ、鉄道や寺社など今や多岐にわたる「推し」ですが、皆様にも今ハマっている「推し」がありますか?
先日ある方のお母様が80歳にして突然、某グループ歌手の推しになった話を伺いました。お母様のお友達がもともとファンで、誘われてコンサートに付き合ったところ一気にその中のお一人に心を奪われ、今や推しグッズを手作りしたり、YouTubeで動画をチェックしたりと毎日楽しそうだと話していました。
その方いわく、母親にいくら便利なものだと説明してもスマホやネットに興味を示さなかったのに、今やそのグループの情報を得るために積極的に使うようになったし、休日に暇つぶしの電話がかかってきて愚痴を聞かされることもなくなったということで喜んでいました。
今まで仕事や家事育児、介護に大忙しだったであろう親世代。人生100年時代と思えば、これからの時間は自分の好きなこと、元気になれることに思い切り使って楽しく過ごしてほしいですよね。
「推し活」は健康面にもプラスになる
「推し活」は楽しみ方も人それぞれで自分のペースでできるのもいいところですが、気持ちがワクワクするだけでなく、健康面でも良い影響を及ぼすようです。
推しのことを考えてウキウキしたり、推し活に夢中で取り組んでいるときには脳の中でセロトニンという、神経伝達物質が放出されています。セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれており、精神的な安心感や集中力を得ることができます。また、全身をリラックスさせる副交感神経の働きが強まり、セロトニンは夜になると睡眠誘導作用のあるメラトニンという物質を生成するので、寝つきがよくなる効果を実感している人も多そうです。
そしてドーパミンは、達成感やそれに伴う快感を引き起こす脳内物質です。「推し」が何かを成し遂げたときに自分も同様な感情を共有したり、推しグッズなどを完成させたりすることで、脳はドーパミンを出し成功体験を感じます。ドーパミンは記憶と結びつきやすいので、気分が落ち込んだときに推しの姿を見たり、推し活をすると快感の記憶が呼び戻され、元気が出るという効果もあります。
楽しむことで気持ちも身体も元気になれるなら、自由な時間がたくさんある親世代にこそ推し活はおすすめできますね。
「推し」をコミュニケーションツールに利用する
今や親世代のアイドルは昔ながらの演歌歌手ばかりではないようです。若い世代に人気の有名人が推しだという方も増えていますので、もしかすると親と一緒に推し活ができるかもしれません。もし、皆様にも「推し」があったら親世代にもすすめてみてはいかがでしょうか。
推しの共有ができなくても、推し活を通じて親との話題が増えるでしょうし、親の興味関心事がさらに広がり、認知症の予防にも役立つことがあるかもしれません。
ちなみに親世代の男性の推し活は「モノづくり」「カスタマイズ」が多いようです。自分の世界に没頭して一からなにかを作り上げたり、汎用的なものを自分好みに変えたりする作業に熱中することで達成感を得て、ドーパミンをより多く放出しているのでしょうね。
推しは探すものではなく、ある日突然ハマってしまうものといいます。
現在親に推しがなく、新しいものに触れる機会も少なくなっているようなら、コミュニケーションの一つとして親子で一緒に様々な体験をしてみるのもよいと思います。季節も秋に変わり過ごしやすくなってくるので、お休みの日などに親を誘ってお出かけしてみてください。
生きる活力になったり、生活に張りが出るものがあると日々が充実しますので、それぞれに最適な「推し」が見つかるといいですね。
プロフィール
■氏 名 佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格
「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。
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