親と終活話をしたいけれど・・・
あっという間に六月が終わり、梅雨も明け、もう本格的な夏ですね。今年は一斉移動を避ける傾向にあるのか、夏休み期間を各自バラバラにとることにしている会社も多いようです。
皆様はもう夏休みの計画を立てられていますか。お盆の時期にコロナ禍で控えていたお墓参りに行こうと考えていらっしゃる方もあるでしょう。
私はお墓参りに行くと、「いつか自分もここに入るのだろうな」とぼんやり自分の“終活”を考えることがあります。
本来は親の終活準備や終活についての考えも、元気なうちに具体的に動いていたほうがいざというときスムーズに対応できるのですが、中には頑なにそういった話をするのを嫌がる親世代の方もいらっしゃいます。
終活は所持品の整理に時間もかかりますし、不動産や親の資産など金銭面にも話が及ぶので、なかなか子供世代からは切り出しづらいものですよね。
終活話を避ける親の気持ちも尊重
親世代でも、実際にご自身が相続手続きに携わった経験がある方はその作業の煩雑さがわかり、子供にはなるべく手間をかけさせないようにと早々に終活に着手しているようですが、相続は一生に何度も起こることではないのでみんなが経験できるわけではありません。
親世代が終活話を避ける理由として
・まだ自分は健康で長生きできると信じたい思いが強い
・「死」が身近になってきているだけに、自分の死をイメージすることに恐怖感がある
・周りの人が自分の死を願っているように感じて不快である
・書類の確認などが面倒
などがあります。
また子供世代でも、きょうだい間で親の終活話に対する温度差があり意見が合わないこともありますね。実際、相続は「争続」と揶揄されるくらい、関係者でもめるケースが多いのも事実です。
とはいえ、終活話を嫌がる親に無理やり持ち掛けるのはお互いいい気がしないでしょう。
もしそういった場合、あくまで私のカウンセリング事例から感じたことですが、親の思いをまずは尊重して、今は子供世代だけでできることを少しずつ準備しておくのがいいかと思います。
例えば
・相続人が複数(兄弟など)いるのに対し相続不動産が1件(実家のみなど)の場合、その対応を話し合っておく。誰か一人が相続するのか、共有名義にして全員で相続するのか、または売却して現金で分けるかなど。不動産は登記変更が必要なので対応に時間がかかります。
・相続発生後に発覚して一番困るのは借金。親が家族に秘密で誰かの連帯保証人になっている場合もあります。本人に聞かずに調べる方法として信用情報機関(「株式会社日本信用情報機構(JICC)」、「株式会社シーアイシー(CIC)」、「一般社団法人全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター)に開示請求する方法があります。気になるようでしたら利用してみましょう。
・親の人間関係は子供世代に把握しづらいもの。年末時に帰省した時に親がやりとりしている年賀状を見ることができたらさりげなくチェックしておくと、いざという時に誰に連絡すべきか慌てずにすみます。
・お盆やお彼岸の時期にかこつけて菩提寺があるのかを親に確認し、あるなら住職さんとのお付き合いやお布施、管理料などをお寺に確認しておくと葬儀の対応がスムーズです。
家族みんなで明るく「終活」を語る
親世代は終活に対し「死んだときのことを想像するなんて縁起が悪い」というようなネガティブなイメージをお持ちの方も多いでしょう。
しかし最近は、自分の人生の最期をどう締めくくりたいかを自分で決めるという、前向きなとらえ方に変わってきています。樹木葬や散骨など、埋葬の手段も増えています。
夏休みに親と話す機会があったら、お墓参りに行ったあとなどに「自分の葬儀はこんな風がいい、埋葬はこうしてほしい」などと、自分自身の話をしてみてはいかがでしょうか。家族みんなでそれぞれの終活に対する希望を明るく語れば、親の心理的な抵抗感も薄れて少しはご自身の思いも話してくれるかもしれません。
いつ起こるかわからないのが相続ですが、「あの世へのお引越し準備」として少しずつきょうだいや親と話をしていけるといいですね。
プロフィール
■氏 名 佐藤 栄子
大手不動産会社で約20年、主に秘書として勤務。社員のヘルスケアも担当したことがきっかけで心理学を学ぶ。義父の介護手伝いのため会社を退職し、退職後は心理カウンセラーとして活動。電話・メール、対面などのカウンセリング、心理テスト作成、コラムの執筆を行っている。
一般社団法人 全国心理業連合会 上級プロフェッショナル心理カウンセラー認定試験 合格
「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。
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