クリスマスも終わって年の瀬、新年を迎えるご用意で皆様もお忙しくされていると思います。
私は飲食に携わって生きてきましたので、毎年この時期になるとお客様に、
「良いお年をお迎えください」
とご挨拶をします。その度に胸が詰まります。
今年もお客様とこの挨拶ができた、一年無事に生きられた、と思うと・・・。
毎年感謝しております。
年越しそば
12月31日大晦日、おそらく皆様が今年最後に召し上がるのが年越しそばではないでしょうか。
年越しそばを食べる習慣は、江戸時代から続いていると聞いています。
細く長い蕎麦を食べることで長寿を願う、また、縁が長続きしますようにとの願いが込められています。
そんな蕎麦の中でも美味しい寒ざらし蕎麦がありまして、蕎麦の実を収穫し、冬の冷たい滝つぼの水に浸して-2℃で保管し糖度を上げる、いわば雪の下で育った越冬野菜などと同じで、自分を寒さから守るために糖度を上げ、旨味を増します。
なかなか食べる機会が少ないと思いますが、もしお目にかかる事がありましたら是非ご賞味ください。
京都のにしんそば
もともと京都でも洛中、京都市内は海から遠く新鮮な海の魚が入ってこなかった事から、若狭から鯖や若狭ぐじ(アマダイ)が塩をした状態で運び込まれていました。
鱧なんかは瀬戸内から運ばれてきたんですが、生命力が強く、他の魚と比べると鮮度を保った状態で入ってきます。
にしんは北海道で多く水揚げされ、干物にされます。俗に身欠きにしんといいますが、京都まで運んでくるのには丁度いいんですね。
柔らかい小骨の多い脂ののった身欠きにしんを戻して湯がいて甘露煮にし、蕎麦に乗せて食べるのが京都流。ちなみに春を告げる魚、春告魚と書いてにしんとも読みます。
以前、オホーツクの水産会社の商品開発をお手伝いしているとき、何度か訪れたんですが、にしんの水揚げ量を見て驚きました。大量でした。
ほとんど干物でしか流通しないので生のにしんを見たのは初めてでして、イワシのように生姜煮や天ぷらを試作して食べたのを覚えています。それもまた美味しいです。
干物
干物にすることによって日持ちするだけではなく、余計な水分を抜きますので旨味が凝縮され、美味しく食べることができます。
小魚なんかは卸したりするのに手間がかかるので干物にすることが多いですが、手間を省けて美味しくて、身体に良い、よく考えられたものだと思います。
にしんの栄養素と効能
一般的に流通している身欠きにしん。身欠きにしんは良質なたんぱく質、ビタミンやミネラルが豊富で、小骨ごと食べるのでカルシュウムも摂れる、また、青魚なのでEPAとDHAも含んでおり、血液をサラサラにし、神経細胞膜を柔らかくしてくれるので脳を活性化させ記憶力や学習力アップにも効果がる大変身体に良い魚です。認知症予防にも最適でしょう。
そばの栄養素と効能
そばは低カロリー高たんぱくです。また、食物繊維が白米に比べると多く含まれ、炭水化物は白米よりもはるかに少ないです。
毛細血管の働きをよくするルチンが含まれていて、血管を丈夫にして老化予防にもなります。
いかがでしょうか?
そんな二つの食材を合わせた“にしんそば”。とても身体に良く、糖尿病や認知症予防にもなると言えるでしょう。
では、身欠きにしんの扱い方を少し。
以前は米のとぎ汁に一晩漬けこんで熱湯で戻して湯がいてと、大変たいそうなものでしたが、今はソフトニシンというのがあって、かなり脂ものって美味しいです。
干物ですが名前の通り大変柔らかいので扱いやすいですよ。
【ソフトニシンの焚き方】
①まずは頭と尾を切り落として硬い骨を取り除き、うろこを取り除きます。
②水洗いして鍋に入れ、水を張っ沸騰寸前まで沸かします。
③あくをしっかり取って、柔らかくなるまで中火でコトコト湯がきます。
④ゆで汁を捨て、酒と水、濃い口醤油と砂糖でゆっくりと焚いていきます。
⑤焚きあがったら冷まして食べやすい大きさに切ります。
⑥蕎麦出汁で少し温めて、蕎麦に乗せて出来上がり。山椒や七味、柚子などお好みをで少し入れて美味しく召し上がれます。
※冷蔵庫でしっかり冷ましたほうが綺麗に切れます。
いかがでしょう、今年の年越しは家族でにしんそば、食べて健康、長寿祈願、一石二鳥ですよね!
最後になりましたが、皆様、寒い日が続きますが、寒暖差には十分お気をつけ、お身体ご自愛いただき、良いお年をお迎えください。
それではまた新年。
有難うございました。
プロフィール
■氏 名 青山 憲正
1965年 京都生まれ京都育ち
京都商業高校卒業後、京料理の世界へ。
宮川町や先斗町の料理屋、京都ホテル(現 京都ホテルオークラ)などで修業を積み、京都宝ヶ池プリンスホテル(現 ザ・プリンス京都宝ヶ池)の和食料理長に就任。京都 西陣 お料理あお山 店主、レストランサントリーメキシコ総料理長、宮川町水簾東京ミッドタウン店料理長、某社会長のパーソナルシェフなどを経て、現在、金谷ホテル観光株式会社調理部部長及び鬼怒川温泉ホテル料理長を兼務する。
■実績
秋篠宮ご夫妻、小泉元総理をはじめ各界の方々から一般消費者の方々のお料理
■商品開発
生産者と消費者をつなぐ第六次産業ビジネス、電子レンジ特化型商品、糖質制限食、高齢者要介護者向けお食事 他
■掲載歴
専門料理 婦人画報 メイプル HANAKO(準グランプリ獲得)京都新聞 他
■教育
和食ワールドチャレンジ優勝者排出 フードコーディネータースクール講師 他
「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。
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