夏野菜で水分補給 熱中症に備えて【親の心と体】

連載コラム

今年の夏は暑くなりそうで、すでに各地で記録的な気温の上昇が報告されています。熱中症にも十分な注意が必要です。
昔はエアコンもなく、暑い夏を乗り越えるために様々な知恵と工夫がなされていました。
そんな中で夏野菜。夏野菜と言えば皆さん、何が一番に思いつきますでしょうか?私は茄子と胡瓜が一番に来ます。
夏野菜の特徴としましては、暑い夏に生息できる体質、つまり自身が水分を多く含んでいて生き抜いているんですね。

夏野菜

森田農園 夏の京野菜

京都に住んでいたころ。北山通りから少し入ったところに有機野菜農家、森田農園があります。
森田さんではいつも加茂ナスやむかし胡瓜、トマトやトウモロコシ、伏見トウガラシや万願寺トウガラシなど、様々な野菜を買っていました。畑に入って自分で採るのですが。
森田さんとはいろんな野菜の話をたくさんしました。
そんな中で、何故京都では夏野菜が育ちやすいのか?という話もありました。
そのあたりを少し。
京都は山に囲まれた盆地になっており、山水、地下水が市内の方に溜まりやすいそうです。
水分が十分に必要な夏野菜にとっては最適だと。なるほど、理にかなってますね。
森田さんに限らず生産者さんとお話ししているととても勉強になります。“なんでなんでマン”の私にとってはとても楽しい貴重な時間なんです。

ちょっと脱線します。

農林水産省主催の外国人国籍料理人による、和食ワールドチャレンジという日本料理の腕を競う世界大会があります。2015年、当時私はサントリーが営む日本食レストラン7店舗の総料理長をしておりました。各レストランの料理長達がエントリーし、1名が予選通過、1月に京都で決勝が開催されました。私も決勝に同行し、本人を森田さんのところへ連れていき、決勝に使うカブラを抜きました。ゴンサロと言うんですが、雪降る中、大喜びで抜いていました。

結果は惜しくも2位不在の3位。しかし翌年の2016年大会では最優秀賞に輝き、見事リベンジを果たしました。因みに一緒に決勝進出を果たしたサムエルという料理長はハーベスター賞を獲得しました。

寂しいことに、二人ともコロナで天に召されました。二人はあの世でテキーラを飲みながらサルサのステップを楽しんでいることでしょう。今でも彼らの笑顔が目に浮かびます。

食べて下げる体温

夏野菜は食べる事によって外気で上がった体温を内から下げてくれる効果があります。
冷房で体温を下げようとすると、冷気は下へ行くので足が冷えてしまい、腰痛やこむら返りを起こしたりしますよね。
そういった事無く体温を下げられます、胡瓜の塩もみなどで。一度試してみて下さい。

胡瓜の一本漬け

夏の京都、大原では店の軒先で胡瓜の一本漬けが割り箸に刺し、氷に漬けて売っています。
暑さを和らげるため、歩きながら食べられるように工夫されています。
実際に暑くて火照っている時に食べると、サーっと熱が引くのがよくわかりますよ。

きゅうりの一本漬け

縁側でスイカ

夏の蒸し暑い京都では、蚊取り線香を炊いて縁側に腰かけ、よく冷えたスイカを食べていました。団扇で仰ぎながら。
夏はそういった工夫をしていたことを思い出します。エアコンなんかは無かったと思います。
今は縁側なんてものは都会では見られませんが、私の父の実家が京都の宇治で茶畑を営んでいましたので、母屋があって庭園があり、離れに五右衛門風呂もありました。縁側とエアコンの世代交代的な入れ替わりがあったのかもしれませんね。
便利な世の中になったからこそ、そういった時代が懐かしく、ほのぼのと感じる。何事もそうですが、失って初めて良さがわかる、ちょっと皮肉なもんかもしれませんね。

今年の夏、ご実家に帰られる方も多いと思います。
親御さんと昔の思い出を話しながら、エアコンの温度を1℃上げて冷たく冷やした胡瓜やスイカを団扇で仰ぎながらかじるのもいいんじゃないでしょうか。
身体を外から冷やさず内から冷やす。
なかなかご高齢になられた親御さんがスイカを買って食べる事も少ないでしょうし、親孝行兼ねて、昔話に花を咲かせてみてはいかがでしょうか。

縁側でスイカ

くれぐれも食べすぎには注意して下さいね。お腹が冷えてしまいます。また、熱中症も危険ですので無理な我慢は禁物です!

次回は夏の食材の調理法などに触れたいと思います。


プロフィール

氏 名  青山 憲正
1965年 京都生まれ京都育ち
京都商業高校卒業後、京料理の世界へ。
宮川町や先斗町の料理屋、京都ホテル(現 京都ホテルオークラ)などで修業を積み、京都宝ヶ池プリンスホテル(現 ザ・プリンス京都宝ヶ池)の和食料理長に就任。京都 西陣 お料理あお山 店主、レストランサントリーメキシコ総料理長、宮川町水簾東京ミッドタウン店料理長、某社会長のパーソナルシェフなどを経て、現在、金谷ホテル観光株式会社調理部部長及び鬼怒川温泉ホテル料理長を兼務する。
実績
秋篠宮ご夫妻、小泉元総理をはじめ各界の方々から一般消費者の方々のお料理
商品開発
生産者と消費者をつなぐ第六次産業ビジネス、電子レンジ特化型商品、糖質制限食、高齢者要介護者向けお食事 他
掲載歴
専門料理 婦人画報 メイプル HANAKO(準グランプリ獲得)京都新聞 他
教育
和食ワールドチャレンジ優勝者排出 フードコーディネータースクール講師 他


「親子ネクト〜離れて暮らす親が、ふと心配になったら〜」は、離れて暮らす親を心配されているご家族向けに、親に関する様々なお役立ち情報を発信しているブログサイトです。
タイトルの「親子ネクト」は親とつながる(コネクト)をイメージしております。

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